失敗と反省と回帰 〜ウィーザー『ザ・グリーン・アルバム』(2001)【わたしが選ぶ!ロック名盤500】#386

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⭐️⭐️⭐️

【わたしが選ぶ!ロック名盤500】#386
Weezer
“Weezer (Green Album)” (2001)

前作『ピンカートン』から5年ぶりとなる、3rdアルバムである。

20代後半でまだ若い、成功したてのバンドのアルバムのリリースに5年ものブランクが空くのは異常に思えるが、それは2ndアルバム『ピンカートン』の商業的失敗、批評的バッシング、そして米ローリング・ストーン誌の読者投票で年間ワースト・アルバムの第3位に選ばれてしまうほどの徹底的な嫌われように対するショックから立ち直るのに必要な年月だったのだ。

その5年間のあいだ、メンバーはそれぞれが別のバンドを組んで活動したが、自身の心の内を正直に吐露して書いた曲を叩かれ、嫌われてしまったソングライターのリヴァース・クオモは落ち込み、自宅の壁を黒く塗り、窓に断熱材を貼り、さらに黒いグラスファイバーシートを貼って光が全く入らないようにしていた。また、歯には矯正器具を装着し、誰にも会わない、引きこもりの日々を送ったが、しかしその間に121曲もの新曲を書いた。

しかし2000年8月に日本の音楽フェス、サマーソニックに出演したことをきっかけに、バンドに活力が戻った。帰国して2ヶ月後にクオモは、3rdアルバムを制作することを発表した。

前作がセルフ・プロデュースによって失敗した反省から、本作では彼らのブレイク作である1stアルバムのプロデューサー、ザ・カーズのリック・オケイセックを再び招聘した。

クオモが書き溜めた100曲以上の曲からバンドは25曲を選び、さらにオケイセックと共に18曲に絞り込んだ。これも前作の失敗から、クオモは歌詞から個人的な想いを意図的に排除し、なんの思い入れもないシンプルな歌詞を書いた。

レコーディング中にゲフィン・レコードの幹部が訪れ、いくつかのトラックに不満を表明すると、バンドはそれらを削り、最終的には10曲で29分という、これ以上は無理というところまで絞り込んだ。その出来には、疑り深いゲフィン・レコードも大いに満足したという。

本作は2001年5月に、ウィーザーの3rdアルバムとしてリリースされた。原題は”Weezer”と1stアルバムとまったく同じセルフ・タイトルなので、「グリーン・アルバム」と通称で呼ばれている。

アルバム・ジャケットも1stと似たコンセプトで制作され、ブックレットの裏面にはオペラ作曲家ヴェルディの言葉「古きに帰れ、そこに進歩がある」とラテン語で刻まれているなど、どこまでも、とことん、失敗した前作を無かったことにするかのように、原点回帰を強調したものとなっている。

【オリジナルCD収録曲】

1 ドント・レット・ゴー
2 フォトグラフ
3 ハッシュ・パイプ
4 アイランド・イン・ザ・サン
5 クラブ
6 ノックダウン・ドラグ・アウト
7 スマイル
8 シンプル・ページズ
9 グロリアス・デイ
10 オー・ガールフレンド

本作について、全曲を書いたリヴァース・クオモは次のように語っている。

「前作『ピンカートン』について言えば、あれは本当に不快なアルバムだった。とても利己的で、不健康で、まるで病気のようだった。僕はもう二度とあんな風に自分の内面を晒したくないし、あのアルバムの曲は聴きたくもないし、ライブで演奏したくもない。僕たちが前に進むためには、過去の古いやり方(1stのシンプルさ)に戻る必要があったんだ」(Rolling Stone誌カバーストーリー2001年)

いくら批評家に叩かれ、リスナーに嫌われ、商業的に失敗したと言っても、自身の作品をここまで徹底的に否定するアーティストも珍しい。二度と味わいたくないほど、辛い目にあったのだろうか。それともやはり彼は、本質的に打たれ弱い、オタク気質のヘナチョコなのだろうか。

本作は確かに1stのウィーザーのポップな愛らしさも戻り、キャッチーな曲が揃って、サウンドも聴きやすく整理されている。ヒット曲も生まれ、アルバムは過去最高の全米4位を記録し、セールスも前作を上回った。

大成功!と言えるけれども、しかし本作を絶賛する批評が多い中で、否定する批評もあった。ピッチフォーク誌のアルバムレビューでは「リスナーの心を揺さぶるような『人間味』が、ここには一切見当たらない」と厳しいところを突いている。

アルバム冒頭から強力な4曲が続き、それだけでもう名盤確定なのだけれども、後半を聴き続けるうちに、均一化された曲調のせいか、ピッチフォーク誌が「人間味が一切見当たらない」と言いたくなる気持ちもわからなくもない。

前作『ピンカートン』にはそれがたっぷりあったために、余計に。

↓ 米オルタナチャート2位、全英21位のヒットとなった「ハッシュ・パイプ」。こういう曲を聴くと、カート・コバーンが死去したタイミングで出てきてブレイクした彼らに、ニルヴァーナの穴を埋める存在として注目と期待を一身に浴びていたことを思い出す。

↓ 米オルタナチャート11位まで上昇した2ndシングル「アイランド・イン・ザ・サン」。

(Goro)

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UNIVERSAL MUSIC GROUP
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