Coldplay
“A Rush of Blood to the Head” (2002)
コールドプレイは、「イエロー」だけの一発屋で終わる可能性だってあったと思う。
わたしも「イエロー」を気に入って1stアルバムを聴いてみたものの、なんとなく物足りなく思ってしまったし、「イエロー」はたまたま生まれた名曲だったのかなあ、などと思ったものだった。
しかしその見立てを覆したのは本作からのリード・シングル「イン・マイ・プレイス」と、1stから大いなる飛躍を遂げた本作の素晴らしい出来だった。
「イン・マイ・プレイス」は「イエロー」とだいたい同じような曲だけれども、しかしわれわれがまさに求めていたのはそれで、「もう一杯だけ、アレをおかわり」という注文に見事に応えてくれたように思う。
さらにアルバムには、「イエロー」とは似ていない名曲も揃えていて、それぞれに味わいが違いながらどれもクオリティが高く、「なんだ、ここのお店はなに食っても美味いな」と思わせてくれるようなアルバムとなっている。
本作はコールドプレイの2ndアルバムとして2002年8月にリリースされ、全英1位、全米5位、そして12カ国で1位を獲得し、2,000万枚以上を売り上げるメガヒットとなった。
【オリジナルCD収録曲】
1 ポリティック
2 イン・マイ・プレイス
3 ゴッド・プット・ア・スマイル・アポン・ユア・フェイス
4 サイエンティスト
5 クロックス
6 デイライト
7 グリーン・アイズ
8 ウォーニング・サイン
9 ア・ウィスパー
10 ア・ラッシュ・オブ・ブラッド・トゥ・ザ・ヘッド
11 アムステルダム
本作の原題は「頭に血がのぼる」というような意味である。『静寂の世界』という邦題はたぶん、前作のイメージでつけたのかもしれない。
冒頭から静寂とはかけ離れた、緊迫感と強い意志を感じさせるような激しいイントロが意外すぎて驚くが、その「ポリティック」は、9.11テロの当日に書かれ、2日後に録音されたという。クリス・マーティンはあのテロに強い衝撃を受け、「いつ死ぬか分からない、だから自分たちのすべてを注ぎ込んだ曲を作らなければならない」という切迫感からこの曲を生み出したという。
アルバムは前作に引き続き、内省的な繊細さを芯に残しつつ、よりダイナミックになり、楽曲はバラエティに富み、何かから解き放たれたように自由でのびのびとした印象がある。内向きで臆病そうにしていた1stを大きく超えた、スケールの大きな音楽が生まれている。
↓ この曲ができたことが、本アルバムを制作するきっかけになったというリード・シングル「イン・マイ・プレイス」。全英2位のヒットとなった。
↓ いったんは出来上がっていたアルバムを「何か物足りない」としてリリースを延期させたが、この「クロックス」を書き上げて追加して、アルバムは完成を見た。「クロックス」は2004年最優秀レコード賞を受賞。
(Goro)


