米国産ブリット・ポップ 〜ザ・キラーズ『ホット・ファス』(2004)【わたしが選ぶ!ロック名盤500】#407

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【わたしが選ぶ!ロック名盤500】#407
The Killers
“Hot Fuss” (2004)

そうか。21世紀にもなると、こんなバンドも出てくるのか、と彼らのことを知ったときは半ば驚き、半ば感動したものだった。

ザ・キラーズは、2001年に米ネバダ州ラスベガスでで結成された4人組のバンドだ。

そのバンド名はイギリスのバンド、ニュー・オーダーのMVに出てくる架空のバンドの名前を拝借したものだという。

彼らはそのニュー・オーダーはもちろんのこと、80年代イギリスのシンセ・ポップや、クイーン、ザ・キュアー、ザ・スミス、そしてオアシスなどに影響を受けた、音だけ聴いたらとてもアメリカのバンドとは思えない、「米国産ブリット・ポップ」「現代のクイーン」「アメリカのデュラン・デュラン」などと評されるほど、イギリスの香りが濃厚である。ついでに、フロントマンのブランドン・フラワーズのスタイリッシュな容姿がまた、イギリスっぽさをさらに補強している。

あの保守的なアメリカの、しかもネバダ州ラスベガスなどという賭博と砂漠のイメージしかない内陸部から、これほどイギリスっぽいバンドが出てきたというのがわたしには驚きであり、ついにそんな時代が来たかという驚きと感動だったのである。

本作は2004年6月にリリースされた、ザ・キラーズの1stアルバムだ。

【オリジナルCD収録曲】

1 ジェニー・ワズ・ア・フレンド・オブ・マイン
2 ミスター・ブライトサイド
3 スマイル・ライク・ユー・ミーン・イット
4 サムバディ・トールド・ミー
5 オール・ディーズ・シングズ・ザット・アイヴ・ダン
6 アンディー・ユア・ア・スター
7 オン・トップ
8 チェンジ・ユア・マインド
9 ビリーヴ・ミー・ナタリー
10 ミッドナイト・ショー
11 エヴリシング・ウィル・ビー・オールライト

エッジの効いたギター・サウンドにダンサンブルなビート、煌びやかなシンセサイザーの音色、キャッチーな英国風メロディーの、スケールの大きな楽曲が彼らの持ち味だ。

実はバンドは一度、デビュー・アルバム用の楽曲をほぼ全曲書き上げていた。しかし、レコーディングを進めようとしていた矢先、ブランドンは、ザ・ストロークスのデビュー・アルバムを聴き、激しい衝撃を受けたという。ブランドンは次のように語っている。

「車の中でザ・ストロークスの『イズ・ディス・イット』を初めて聴いたとき、あまりにも完璧で本当に落ち込んだんだ。それで「ミスター・ブライトサイド」以外の曲は全部捨てて、もう一度やり直した。あのアルバムが俺たちの基準を引き上げてくれたんだ」

「俺たちはラスベガス出身だけど、心はいつだってイギリスの音楽にあった。ニュー・オーダーやザ・スミスを聴きながら、あんな風にスタジアムを躍らせる音楽を作りたいと本気で思っていたんだ」

用意してあった曲のほとんどを捨て、あらためて楽曲の方向性とクオリティを再考し、新たにアルバム用の楽曲を書いたという。

そんな紆余曲折を経てようやく完成した本作からは4曲のヒット・シングルが生まれ、アルバムは全英1位、全米7位、全世界で700万枚を売り上げる、驚異的な大ヒットとなった。

それにしても、ストロークスの真似なのか、本作にもヴォーカルにエフェクトがかけられているけれども、わたしはこれだけがあんまり好きではない。せっかくの良い曲が勿体なく思える。

↓ アルバムに先駆け2003年9月にリリースされたデビュー・シングル「ミスター・ブライトサイド」。全米10位の大ヒットとなり、イギリスではシングル・チャートに通算400週以上(10年近く)ランクインし続けるという異次元の記録を持つ代表曲。

↓ 米オルタナ・チャート3位、全英3位のヒットとなった「サムバディ・トールド・ミー」。わたしはこの曲がいちばん好きだ。

(Goro)