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Franz Ferdinand
“Franz Ferdinand” (2004)
ブリット・ポップの狂騒が終わり、レディオヘッドが大ブレイクした90年代後半以降、英国ロック・シーンはまるで寒々とした冬を迎えたように、死にかけみたいにか細い歌声のバンドばかりが出てきたけれども、そんな荒涼としたシーンに「やっと元気なのが現れた!」とわれわれをホッとさせたのがスコットランドはグラスゴー出身の4人組、フランツ・フェルディナンドだった。
バンド結成当初に掲げられたコンセプトは「女の子が踊れるような音楽を作る」だった。
その結果、70年代末〜80年代初頭のポスト・パンクのような角張ったカッティング・ギターにディスコ・ビートを融合させ、さらにその上にポップなメロディを乗せた、ファンキーでクールで陶酔感を備えた新種のロックが誕生した。
衣装もアートワークもスタイリッシュな感じで颯爽としたイメージだが、しかし彼らは意外と苦労人で、ドラマーは二度目のデビューだし、フロントマンのアレックス・カプラノスは3度目のデビューで、この当時すでに31歳だった。
なのでもはや初期衝動とか言ってる歳でもないわけで、数年前からの米国のガレージ・ロック・リヴァイヴァルやニュー・ウェイヴ風サウンドの復刻をしっかり把握して戦略を練った結果なのだろうとわたしは推測する。
本作はフランツ・フェルディナンドの1stアルバムとして、2004年2月にリリースされた。プロデューサーにはカーディガンズを世に送り出したトーレ・ヨハンソンを迎え、スウェーデンで録音された。当時流行のガレージ感を出すために、1970年代のアナログ16トラック・レコーダーを使用したという。
【オリジナルCD収録曲】
1 ジャクリーン
2 テル・ハー・トゥナイト
3 テイク・ミー・アウト (ラジオ・エディット)
4 ザ・ダーク・オヴ・ザ・マチネ
5 アウフ・アクサ
6 チーティング・オン・ユー
7 ディス・ファイア
8 ダーツ・オブ・プレジャー
9 マイケル
10 カム・オン・ホーム
11 40’
本作は全英3位、全米でも32位まで上昇し、世界で360万枚以上を売り上げる大ヒットとなった。
久々の英国ロック・バンドの世界的ブレイクということで、英国はもちろん、世界的にも盛り上がった。日本でもずいぶん話題になったものだ。
フロントマンのアレックス・カプラノスはそのときの状況を次のように語っている。
「1stアルバムを作っていたときは、当然だけど世間の誰も僕らが何者かなんて知りもしなかった。だから完全に自分たちの世界に没頭して、外の目を気にせず、ただ作りたいものを自由に作ることができたんだ。その後に起きた世界的な狂騒は、自分たちが仕掛けたものじゃない。ただレコードを作っただけなのに、周りがどんどん興奮していくのを、嵐の目の中から眺めているのはすごく奇妙で面白い経験だったよ」(米Stereogumインタビュー)
ちなみに「フランツ・フェルディナンド」とは、オーストリア=ハンガリー帝国の皇太子の名前で、彼が1914年に暗殺されたことが第一次大戦の引き金となったことはよく知られているが、バンドにはとくに政治的・思想的な意図はないとしている。メンバーがテレビで競馬中継を見ていたときに「フランツ・フェルディナンド」という名前の競走馬が走っているのを見て、その響きが気に入ったからだったという。
↓ 彼らの名前を世界的に有名にしたシングル「テイク・ミー・アウト」。全英3位、米オルタナチャートでも3位と、大ヒットを記録した。
↓ 彼らのデビュー・シングルとして2003年9月にリリースされた「ダーツ・オブ・プレジャー」。
(Goro)
