帰ってきた絶品ごった煮サウンド 〜ベック『グエロ』(2005)【わたしが選ぶ!ロック名盤500】#413

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⭐️⭐️⭐️⭐️

【わたしが選ぶ!ロック名盤500】#413
Beck
“Guero” (2005)

前作『シー・チェンジ』は、ベックが恋人にフラれてとことん落ち込んでいるのがモロにわかる大傑作だったけれども、3年経ってとっくに失恋の傷も癒え、本作はまるでベック君のお誕生日パーティーかと思うくらい賑やかに、生き生きとした、大はしゃぎのアルバムだ。

ポップでファンキーでヒップホップ、名盤『オディレイ』のスタイルに再び帰還したかのような印象だけれども、音楽性はさらに成長と広がりを見せ、オルタナティヴ・ロックにボサノヴァ、ブルース、ピコピコサウンド、アコースティックサウンド、サンプリング、そして実の父デヴィッド・キャンベルによるストリングス・アレンジなど、絢爛豪華なごった煮サウンドは、それまでのキャリアの集大成のようでもある。たぶん、ベックがどんなアーティストなのか、初めて聴く人に理解させるには本作が一番てっとり早く、わかりやすいのではないだろうか。

本作は2005年3月にリリースされた、ベックの9枚目のアルバムだ。全米2位と、ベックの全キャリアのチャート最高位を獲得している。

【オリジナルCD収録曲】

1 E-PRO
2 キュー・オンダ・グエロ
3 ガール
4 ミッシング
5 ブラック・タンバリン
6 アースクウェイク・ウェザー
7 ヘル・イエス
8 ブロークン・ドラム
9 スケアクロウ
10 ゴー・イット・アローン
11 フェアウェル・ライド
12 レンタル・カー
13 エマージェンシー・エグジット

冒頭の「E-PRO」からいきなり大ハッタリをかましてくるような、醜く歪んだ、濁流と岩がぶつかり合うようなギターのイントロだけでもう腹の底から期待が込み上げてくる。

「ガール」は一転して、ベックには不似合いすぎて逆に面白い、完璧なポップ・ソングだし、「ブロークン・ドラム」のような、前作『シー・チェンジ』を思い出させるメランコリックで叙情的な美しい歌も聴かせる。そして「ゴー・イット・アローン」では、なんとも異様で中毒性のあるベースをホワイト・ストライプスのジャック・ホワイトが弾いている。

プロデュースは『オディレイ』を手がけたダスト・ブラザーズだが、ベックはそれについて「再びあのクレイジーな実験室に戻ったようだった」と語っている。

賑やかではあるけれども、単なるお祭り騒ぎや実験大会に終わっていない。叙情的な空気と親しみやすいメロディが、ビートの裏側にしっかりと流れているのが、ベックの成熟の証であり、本作の深みとなっている。

↓ 米オルタナ・チャートで1位を獲得した「E-PRO」。歪んだギターと強いビートが特徴のオルタナティヴ・ロック風のナンバー。ライヴでは観客による「ナーナ、ナナナナナーナ」の大合唱が起きる定番曲だ。

↓ 米オルタナ・チャートで8位まで上昇した「ガール」。ありえないほど爽やかなポップ・ソングなのに、歌詞は「彼女を地面に埋めてやる」「縄で彼女を吊るしてやる」「彼女の首にかみついて、嘘を飲み込んでやる」などととんでもなく物騒なサイコパスで、そのギャップがまた面白い。

(Goro)