Keane
“Hopes and Fears” (2004)
キーンは1995年に結成されたイギリスのバンドだ。本作は2004年5月にリリースされた彼らの1stアルバムである。
当初は4人組だったが、一向に売れないために嫌気がさしたギタリストが2001年に脱退してしまったため、残された3人はヴォーカルとキーボードとドラムの3人編成で活動していくことにした。ロック・バンドとしてはめずらしい、弦楽器のいないバンドとして話題にもなった(ただし本作では、曲によってキーボードのティムがベースを弾いている)。
紙やすりのような質感の乾いたロックンロールが流行していた時代に、優美なサウンドと艶やかな歌声、高雅で感傷的な歌メロは特異であり、まるで孤高の天才のような輝きを放っていた。
しかし評論家の評価は二分し、オアシスに匹敵する圧倒的なメロディの力や堂々としたアンサンブルを絶賛する者もあれば、ギターがいないことによる刺激の無いサウンドや内容の薄い歌詞を幼稚と冷笑する酷評もあった。
【オリジナルCD収録曲】
1 サムウェア・オンリー・ウィー・ノウ
2 ベンド・アンド・ブレイク
3 ウィー・マイト・アズ・ウェル・ビー・ストレンジャーズ
4 エヴリバディーズ・チェンジング
5 ユア・アイズ・オープン
6 シー・ハズ・ノータイム
7 キャント・ストップ・ナウ
8 サンシャイン
9 ディス・イズ・ザ・ラスト・タイム
10 オン・ア・デイ・ライク・トゥデイ
11 アンタイトルド1
12 ベッドシェイプド
しかしリスナーは根性と耳の穴のねじ曲がった評論家の酷評などものともせずに本作を買い求めた。全英1位となり、国内で270万枚を売り、2004年の英国における2番目に売れたアルバムとなった(1位はシザー・シスターズ)。欧州各国でもチャート上位を席巻し、米国でも45位まで上昇、全世界で570万枚を売る大ヒットとなった。
結局、なんだかんだ言っても「歌メロ」は強いのだ。
昭和のポップスと言われたらそうも聴こえるし、80年代ロックと言われてもそうかなと思う。とくに新しいところはないと言われればそうかもしれないけれども、ただただ「いい歌」なだけの曲が並んだアルバムだ。それで充分だと思う。
わたしは当時からこのアルバムに好感を持ち、瑞々しいピアノの音色と、さらにそれを加工して創り出した独特の音像を気持ち良く思い、素直で美しい大きなメロディに感嘆した。
新しい世代の若者たちが今度はどんな音楽を創り出すのか、それを常に楽しみにはしているけれども、一方でもうこれ以上ロックとしては新しいスタイルが出てこなくても無理もないだろうともわたしは思う。ただ奇を衒っているだけでは「新しいロックだ!」なんて喜べるはずもない。
そんなのよりは、スタイルなんてなんでもいいから、とにかく「カッコいい曲」や「良い歌」が聴ければわたしはそれで充分である。
↓ 前年にリード・シングルとしてリリースされ、全英4位のヒットとなった「エヴリバディーズ・チェンジング」。わたしはこれが一番好きだ。
↓ 全英3位、全米でも50位まで上昇し、彼らにとって最大のヒットとなった代表曲「サムウェア・オンリー・ウィー・ノウ」。
(Goro)
