
前回、7/26に公開した記事『はじめてのザ・ローリング・ストーンズ』では、その入り口として彼らの黄金期(1968〜72)の代表曲から10曲選んでみた。
しかし最新アルバム『フォーリン・タングス』が好評で迎えられ、日本でもオリコン5位まで上昇するなど売れているようなので、これでストーンズを好きになった方(いてほしいな)や、50年も前のじゃなくてできれば新しめのものを聴きたいという方のために、最新の曲から遡って10曲を入門編として以下に選んでみた。
60年代や70年代ばかりでなく、こんなストーンズの入り口があってもいいかなと思います。
In The Stars (2026)
まずは今年大いに話題となった新譜『フォーリン・タングス』の先行シングルから。
ミックとキースが82歳、ロンが79歳というおじいちゃんたちがいったいどんな新曲を出してくるかと思ったら、まさかの瑞々しさに世界が驚嘆したものだった。
MVのディープ・フェイク技術によって50年若返らせたストーンズにはさすがに賛否両論。
Angry (2023)
2023年のアルバム『ハックニー・ダイアモンズ』からのシングル。オリジナル曲のアルバムとしてはなんと18年ぶりという長い長いブランクがあり、ストーンズ・ファンももう新曲を聴くことはないだろうなと諦めていた頃に届いたまさかのサプライズだった。
しっかりとロックしていて、枯れたところのない歌声とサウンドに、とにかく「元気で何より!」と思ったものだった。
Blue and Lonesome (2016)
2016年の全曲ブルースのカバー・アルバム『ブルー&ロンサム』のタイトル曲。リトル・ウォルターのカバーだ。ウォルターの大ファンのミックらしく、歌にもハーモニカにも力が入っている。
もともとは新曲を録音するためにスタジオに集まったものの、気分転換に演奏した古いブルースにみんなが夢中になり、あれこれやっているうちにたった3日間でアルバム1枚分を録り終え、オーバー・ダビングもほとんどしていないという
偶然生まれたようなアルバムだが、古くからのストーンズ・ファンは感涙に違いない。ストーンズ最初期のようなブルース・カバーのアルバムをもう一度聴いてみたいと誰もが思っていたに違いないからだ。
Rough Justice (2005)
2005年のアルバム『ア・ビガー・バン』は久々の傑作として好評をもって迎えられた。この曲はそのオープニングを飾る、まるで70年代のストーンズのような勢いと力強さが戻ってきたような曲だ。
メンバーもこのアルバムには力を注ぎ、キース・リチャーズはなんと、ミック・ジャガーの家に数ヶ月泊まり込んで制作したという。
Anybody Seen My Baby? (1997)
たぶんだけれど、ファンから最も人気がないアルバムと思われる1997年の『ブリッジス・トゥ・バビロン』からのシングル。
MVでストリッパーの役で出演しているのは、当時まだ無名だったアンジェリーナ・ジョリーだ。
Love Is Strong (1994)
ミック・ジャガーのロック界随一と言っても過言ではないハーモニカをイントロで聴いた瞬間に「おおーっ!」と思ったものだ。ヌラヌラ黒光りするようなぶっといグルーヴに乗せて低音で歌う、原点であるR&Bにストーンズが戻ってきたことを感じさせたナンバーだった。
Highwire (1991)
1991年3月に発売されたシングルで、翌月発売のライヴ・アルバム『フラッシュポイント』にもボーナス・トラック的に収録された。わたしはこの曲がとても好きだ。
1991年の1月にクウェートに侵攻したイラクに対し、アメリカを中心とする多国籍軍が空爆を開始した,いわゆる〈湾岸戦争〉がおっぱじまった。これに触発されて書かれた曲ということらしい。
ストーンズは薄っぺらな言葉で反戦を歌ったり、幼稚な知識で政治批判を歌にするような愚を犯すことはしない。この曲もまた、「綱渡り(highwire)」のような危なっかしい状況を生み出しているわれわれ現代人の生き方について歌われている。
Mixed Emotions (1989)
80年代後半、ミックとキースそれぞれがソロ・アルバムの制作に力を注ぎ、二人の仲は史上最悪に険悪になっていて、ストーンズは活動停止状態。
解散の噂も立ち、誰もがこりゃもうダメかもなと思っていた1989年、3年ぶりのアルバム『スティール・ホイールズ』が発表され、さらには初の日本公演も決定し、われわれは狂喜したものだ。
そしてこの曲のMVの、バンドの和気あいあいとした雰囲気、そしてなによりミックとキースが交わす笑顔に、地球上のすべてのストーンズ・ファンが感涙にむせび、涙をちょちょ切らせたものだった。
Slipping Away (1989)
これまでの人生を振り返ってちょっと真面目に想いを馳せるような曲だ。途中でミックが入って来て2人の声が重なるところがまた、たまらない。
One Hit (1986)
最後は、ミックがストーンズより自身のソロの仕事を優先するようになったためキースが激怒して二人の仲が最悪の状態になった状況で制作された1986年のアルバム『ダーティ・ワーク』収録曲。
そんな状態なのでアルバムは充実した内容とは言えないが、この曲だけは逆にその険悪で攻撃的な感情が曲に合ったのか、奇跡的のようにカッコ良い仕上がりである。
MVもそんなミックとキースの一触即発の状態をそのまま取り入れたような演出となっている。
以上、はじめてのザ・ローリング・ストーンズ【最新作から遡って10選】でした。
2026年から1986年まで、「新しめの曲」と言いながら40年前まで一気に遡ったけれども、まあオールド・ファンからするとこのあたりは間違いなく「新しめの曲」なのだ。
お気に召した方にはさらに遡っていただくと、その先にストーンズの黄金時代が待ち受けている。最後はぜひその沼に、どっぷりハマってみてほしいと思います。
(Goro)