絢爛豪華な異端の革命 〜コールドプレイ『美しき生命』(2008)【わたしが選ぶ!ロック名盤500】#430

美しき生命

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【わたしが選ぶ!ロック名盤500】#430
Coldplay
“Viva La Vida or Death and All His Friends” (2008)

コールドプレイはこの4枚目のアルバムで、確立していた自分たちのスタイルを捨て、さらには「ロック・バンド」という小さな枠も捨て去り、まったく新しいサウンドと新しい音楽に挑戦した。

彼らをそのように唆し、導いた悪魔は、ロック界きっての異端者であり魔法使いでもある、ブライアン・イーノである。

本作のプロデューサーを務めたイーノは制作中に、「ひとつのコードしか使ってはいけない」「目を閉じて楽器を演奏する」「全員で楽器を交代して演奏してみる」といった独特のワークショップを課し、さらには「スタジオには毎朝スーツを着て来ること」と指示し、従来のラフな制作環境をやめさせたのだという。

ブライアン・イーノは次のように語っている。「私の仕事は彼らの良さを消すことではなく、彼らが無意識のうちに作っていた“安全地帯”から連れ出すことだった。『従来のコールドプレイっぽい音』から離れることを恐れないように促したんだ」(Sound on Sound / BBC ラジオ)

過去3作の、ピアノとギターを主体にしたサウンドから一転し、ストリングス、管楽器、民族楽器、オーケストラ、シンセサイザーを取り入れた、実験的かつ絢爛豪華なサウンドを創造した。

【オリジナルCD収録曲】

1 天然色の人生
2 哀しみのロンドン
3 ロスト!
4 42
5 ラヴァーズ・イン・ジャパン
6 Yes
7 美しき生命
8 ヴァイオレット・ヒル
9 ストロベリー・スウィング
10 生命の幻影

これだけ実験的で、もはやロックと言っていいかどうかもわからない、ちょっとこれまで聴いたことのないようなサウンドでありながら、シンプルなわかりやすいメロディのおかげで難解な印象やとっつきにくい感じがまったくなく、最初から最後まで全部美味しい豪華なフルコース料理のように堪能できるアルバムである。ロンドン北部の古い教会でレコーディングが行われたため、天然のリバーブがサウンドに重厚感と温かみを加えている。

ドラクロワの有名な絵画「民衆を導く自由の女神」を使った大袈裟なジャケットが示すように、アルバム全体を通じて「戦争」「革命」「失脚」「生の賛歌」といったシリアスで重厚なテーマがひとつの叙事詩のように構成されている。まるで『レ・ミゼラブル』か何かみたいに。

アルバムは全米1位、全英1位を含む世界36カ国でチャートの1位に輝き、日本でもオリコン3位まで上昇する世界的ヒットとなった。1,300万枚以上を売り上げ、その年のグラミー賞では「最優秀ロック・アルバム賞」を受賞した。

 

↓ 精神的にも肉体的にも傷だらけの過酷な人生を送ったメキシコの女性画家フリーダ・カーロが最期に書いた遺作の静物画、スイカの果肉に刻まれた文字「Viva la Vida(人生万歳)」からタイトルを取った、アルバムのハイライト「美しき生命」。

全英・全米で1位を獲得し、MVはYouTubeで再生回数10億回を突破している。

↓ アルバムからの第一弾シングルとしてリリースされ、全英8位のヒットとなった「ヴァイオレット・ヒル」。

(Goro)