レッチリの集大成的大作 〜レッド・ホット・チリ・ペッパーズ『ステイディアム・アーケイディアム』(2006)【わたしが選ぶ!ロック名盤500】#416

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⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

【わたしが選ぶ!ロック名盤500】#416
Red Hot Chili Peppers
“Stadium Arcadium” (2006)

CD2枚組、28曲、122分の超大作である。アナログ盤は3枚組だ。

レッチリ初の2枚組アルバムであり、これはもうさぞかし、レッチリらしからぬ曲や、実験的な曲や、ふざけた曲や、バカな曲も満載の、遊び心とゴチャついた魅力の重量級の大作だろうと予想しながら聴いたものだ。

しかし、違った。

オープニング・トラックの大ヒット曲「ダニー・カリフォルニア」に始まり、続く「スノー」「チャーリー」とどこまでも親しみやすく、聴きやすい曲が続く。

正直、スマパンの『メロンコリーそして終わりのない悲しみ』のような、2枚通して聴いたら、徹夜で飲んだ翌日ぐらいぐったりとして何もする気が起こらないようなアルバムだったらキツいなと思っていたのだ。もうわたしも若くはない。

しかしまったくの杞憂だったのだ。

サウンドは風通しがよく、4人の演奏がすべてクリアに聴こえて、爽快なほどだ。うるさくもなければ、重たくもない。体力を削られることもなく、ただただ最後まで楽しんで聴いていられる。

ジョン・フルシアンテの、ときに感情を顕にし、ときに哀愁を帯びたギターはいつもながら最高だし、バンドの真髄とも言えるフリーのベースも昔に戻ったように嬉々として跳ね回っている。

アンソニーの決して怒鳴ったり喚いたりしない健やかな歌い方には好感しか感じないし、チャド・スミスの胃にもたれない、重量感を感じさせない明快なドラムは、この2時間の長丁場を聴き疲れさせずに楽しませてくれる。レッチリという特異なミクスチャー・バンドの、良い意味での「軽さ」「柔軟さ」みたいなものを担っているのがこのドラムなのかもしれない。

本作はレッチリの9枚目のアルバムとして、2006年5月にリリースされた。

【オリジナルCD収録曲】

Disc 1
1 ダニー・カリフォルニア
2 スノー (ヘイ・オー)
3 チャーリー
4 ステイディアム・アーケイディアム
5 ハンプ・デ・バンプ
6 シーズ・オンリー・エイティーン
7 スロー・チータ
8 トーチャー・ミー
9 ストリップ・マイ・マインド
10 エスペシャリー・イン・ミシガン
11 ワーロックス
12 カモン・ガール
13 ウェット・サンド
14 ヘイ

Disc 2
1 デセクレイション・スマイル
2 テル・ミー・ベイビー
3 ハード・トゥ・コンセントレイト
4 21st センチュリー
5 シー・ルックス・トゥ・ミー
6 レディメイド
7 イフ
8 メイク・ユー・フィール・ベター
9 アニマル・バー
10 ソー・マッチ・アイ
11 ストーム・イン・ア・ティーカップ
12 ウィ・ビリーヴ
13 ターン・イット・アゲイン
14 デス・オブ・ア・マーシャン

1999年の『カリフォルニケイション』、2002年の『バイ・ザ・ウェイ』は、ジョン・フルシアンテのカラーが色濃く出たアルバムで、レッチリの音楽性が以前のロックとヒップ・ホップとファンクを行き来するミクスチャー・ロックから、オルタナティヴ・ロックの方へとシフトし、楽曲も充実して、高い評価を得ていた。

今回もやはりフルシアンテ・カラーを中心に据えてはいるものの、初期のファンクやヒップ・ホップのミクスチャーに回帰もしている。これはもうそのまま、レッチリの歴史の集大成と言えるものだろう。

アンソニー・キーディスは次のように語っている。「僕らが作ってきた中で、間違いなく最高の作品だ。バンドとして一番強い情熱を感じていたし、お互いを心から尊重し合えていたんだ」
(アルバムリリース時の公式プレスインタビュー 2006年)

そして、フリーも次のように語っている。「前作では少し居場所を失った感覚があったけれど、今回は違った。僕たちは4人全員が同じ部屋で一斉にジャムをし、互いの音に耳を傾けて曲を作った。最高にバンドらしいプロセスだったよ」(『Bass Player』誌インタビュー 2006年)

アルバムは彼らにとって初の全米1位、そして日本でもオリコン1位になるなど、世界24カ国で1位を獲得するという快挙を成し遂げ、その年のグラミー賞では、「ベスト・ロック・アルバム」「ベスト・ロック・ソング」など5部門を受賞した。

↓ 全米6位、全英2位の大ヒットとなった「ダニー・カリフォルニア」。日本では映画『デスノート』の主題歌として使用されたこともあり、映画と共にヒットした。レッチリの楽曲が映画の主題歌に使用されること自体が初めてのことだったが、メンバーは英訳の原作マンガを気に入り、使用を許可したという。

MVは、エルヴィスに始まり、ビートルズ、ジミヘン、ファンカデリック、ボウイ、ピストルズ、ミスフイッツ、最後はニルヴァーナ等々、ロックの歴史を辿るようにしてコスプレをしていく楽しいものだ。ラスト1分のフルシアンテのギターがまた壮絶なカッコ良さ。

↓ 全米22位、全英16位まで上昇した「スノー (ヘイ・オー)」。ジミ・ヘンドリックスに影響を受けたという、ジョン・フルシアンテの超高速の神業リフが全編を貫く。

(Goro)