Interpol
“Antics” (2004)
米ニューヨークのバンドで、この時代に米英で起こった”ポスト・パンク・リヴァイヴァル”の先駆となったバンド、インターポールの2ndアルバムだ。
メンバーの顔も名前もよく知らず、どういう人たちなのかさっぱりわからないのに好きになるバンドというものがたまにあるけれども、わたしにとってインターポールはまさにそんなバンドだ。聴くたびに「よく知らんけど、カッケーなー、こいつら」と思ってしまう。だから1stアルバムをこの【名盤500】に選んだけれども、この2ndもまた、選ばせてもらう。
2002年の1stアルバム『ターン・オン・ザ・ブライト・ライツ』では、「アメリカ人なのにこんなイギリスっぽいクールでダークな音のバンドがいるんだ!」と、アルバムの出来もさることながら、その驚きが優ったものだたけれども、この2ndは、さらにシャープでダンサンブルでポップと、成長著しい。あくまでカラーではなくモノクロームなイメージを堅持しているものの、伸び伸びとした演奏に、自信と余裕のユーモアさえ感じるほどだ。
デビュー作が大ヒットしたり高い評価を受けたバンドが、2ndアルバムでプレッシャーや苦悩の末にスランプに陥ったり、評価を下げたりすることはよくあるもので、それを「セカンド・アルバム・シンドローム」なんて言うらしいけれども、このインターポールにはどうやらそのジンクスは通用しなかったらしい。
【オリジナルCD収録曲】
1 NEXT EXIT
2 EVIL
3 NARC
4 TAKE YOU ON A CRUISE
5 SLOW HANDS
6 NOT EVEN JAIL
7 PUBLIC PERVERT
8 C’MERE
9 LENGTH OF LOVE
10 A TIME TO BE SO SMALL
インテリっぽくて、暗くて、体温が低く、汗臭さがまったくないような感じは相変わらずだけれども、何かに迷ってるような複雑さがなくなり、長いインストみたいな部分もなくなってメロディが強くなり、聴きやすく、全体の風通しもよくなった。分厚い遮光カーテンを、バァーッと開けた感じだ。
ジョイ・ディヴィジョンの死の影みたいなものは消え、ザ・キュアーやエコー&ザ・バニーメンのような大衆性を獲得したようにも聴こえる。2ndあたりのジーザス&メリー・チェーンをもう少し社交的にしたような感じでもある。とにかくそのあたりのバンドが好きな方にはお薦めだ。
それにしても、この時代のニューヨークのインディー・ロック界にはこのインターポールの他にも、ザ・ストロークスやヤー・ヤー・ヤーズ、ヴァンパイア・ウイークエンド、LCDサウンドシステムなどといった世界的な注目を集めていたバンドが同時に存在していたのだが、SNSなどもない時代であり、それぞれがブレイクするまでお互いにその存在も知らなかったという。
それぞれが全然違う音楽性ながら、それまでのロックと一線を画すような新しい試みをしていたということが共通していて、まるで1977年頃のニューヨーク・パンクの時代みたいだったんだなあと思う。
↓ 初期の代表曲のひとつとなった「SLOW HANDS」。前作にはなかったストレートなロックで、ギターもシンプル、リズムも明快でサビも覚えやすい。インターポールが広く人気を獲得していく上で大きな役割を果たした曲だ。
↓ シングル・カットされて全英18位まで上がり、インターポールとしては最もヒットした代表曲「EVIL」。
(Goro)
