ネット民が熱狂した最初のバンド 〜アークティック・モンキーズ『ホワットエヴァー・ピープル・セイ・アイ・アム、ザッツ・ホワット・アイム・ノット』(2006)【わたしが選ぶ!ロック名盤500】#415

⭐️⭐️⭐️⭐️

【わたしが選ぶ!ロック名盤500】#415
Arctic Monkeys
“Whatever People Say I Am, That’s What I’m Not” (2006)

どえらく、活きがいい。甲板上でビッチンバッチンと跳ねまくる元気いっぱいの魚のような音楽だ。下手に手を出すと、鋭いヒレや尾で手を切りそうだ。

アークティック・モンキーズは2005年にデビューしたイングランドの4人組だ。彼らは、ストロークスに影響を受けてバンドを始めたという。デビュー前にライブ会場で配られたデモCDをファンがSNSやファイル共有ソフト(懐かしいな)にアップロードしたことがきっかけで爆発的な人気を獲得したというのも、いかにも時代の寵児という感じだった。

メジャー・レーベルからの高額契約の提示をすべて断り、バンドの音楽的自由を尊重したインディ・レーベル、ドミノ・レコーズと契約し、1stアルバムである本作を2006年1月にリリースした。全英チャート初登場1位、発売初週で約36万枚を売り上げ、当時の「英国音楽史上、最速で売れたデビュー・アルバム」であったオアシスの1stの記録を塗り替えた。日本でもなんと16万枚も売れたらしい。

【オリジナルCD収録曲】

1 ザ・ビュー・フロム・ザ・アフターヌーン
2 アイ・ベット・ユー・ルック・グッド・オン・ザ・ダンスフロア
3 フェイク・テイルズ・オブ・サンフランシスコ
4 ダンシング・シューズ
5 ユー・プロパブリー・クドゥント・シー・フォー・ザ・ライツ・バット・ユー・ワー・ステアリング・ストレイト・アット・ミー
6 スティル・テイク・ユー・ホーム
7 ライオット・ヴァン
8 レッド・ライト・インディケイツ・ドアーズ・アー・セキュア
9 マーディ・バム
10 パーハップス・ヴァンパイヤーズ・イズ・ア・ビット・ストロング・バット
11 ホエン・ザ・サン・ゴーズ・ダウン
12 フロム・ザ・リッツ・トゥ・ザ・ラブル
13 ア・サートゥン・ロマンス

2000年代の”ガレージ・ロック・リヴァイヴァル”も”ポスト・パンク/ニューウェイヴ・リヴァイヴァル”も飲み込んで、ヒップ・ホップやヘヴィ・ロックやクラブ・ミュージックを吸収・消化してきた世代の若者による、時代のリアリティが迸る、パンキッシュなロックンロールだ。

ハジけるようなイキの良さと、荒っぽいクールなリフ、つんのめるようなリズムでも崩れない一体感が魅力だ。

イングランド北部シェフィールドの若者たちの週末の夜、クラブでの駆け引き、喧嘩、タクシーでの帰路、泥酔、くだらないトラブルなど、アレックス・ターナーの書くリアルな描写の歌詞もまた同世代の若者たちに支持された。ちなみに、長ったらしいアルバム・タイトルの意味は「人が何と言おうと、俺はそういう人間じゃない」という、いかにも若者らしい堂々たる反骨心に溢れたものだ。大人になってしまうとこういう気持ちはだんだん心の隅へ隅へと、追いやってしまうものだけれども。

ちなみに、ジャケットに写っている人物はバンドのメンバーではない。アレックスの友人であるクリス・マクルーアという人物で、撮影当日にバンドから「一晩飲み明かしてくれ」と70ポンド(約1万円)を渡され、早朝に泥酔状態でタバコを吸っているところを撮影されたという。

本作の歌詞のコンセプトになっている「シェフィールドの週末の夜」を過ごした後の顔ということなんだろうな。

↓ 全英チャート1位を記録したデビュー・シングル「アイ・ベット・ユー・ルック・グッド・オン・ザ・ダンスフロア」

↓ これまた全英チャート1位を記録した2ndシングル「ホエン・ザ・サン・ゴーズ・ダウン」。わたしはこの曲がいちばん好きだ。

(Goro)

コメント

  1. アイアイ♪ より:

    新しい音楽のリスナーとして現役を引退する前、最後にしっかり聴いたバンドですね。
    それまでに自分が聴いてきた音との親和性も高く、好きでした。
    先日も投稿いたしましたが、この後、自身が怒涛の暗黒期~再生のための仕事地獄が7~8年ほど続き、2ndアルバム以降は全く知りません。
    だから少し思い入れがある作品です。

    • Goro より:

      この辺がリアルタイムの最後でしたか。

      実はわたしも同じなんですよ(笑)

      それにしてもアイアイさんとは、まったく異なる人生を歩みながら、なぜか音楽の聴き方だけ一致しているという、まるで別の世界線で「あり得たかもしれない別の人生」を送っているもうひとりの自分が、時空を超えてコメント投稿してきているような、そんな妄想に捉われるほどです。

      そう考えると、その「怒涛の暗黒期」というのがどんな地獄だったのか、えらく気になってしまいますね。

      また機会がありましたら、小出しでもいいですので、そんな頃のお話もお聞かせください。