JET
“Get Born” (2003)
ジェットはオーストラリア出身の4人組のバンドだ。
ヴォーカル&ギターのニック・セスターとドラムのクリス・セスターは兄弟であり、彼らの家には両親が好きだった60〜70年代のレコードがあり、特にビートルズ、ローリング・ストーンズ、ザ・フー、AC/DCなどに影響を受けたという。
2003年に彼らは1stアルバムを録音するために、ロサンゼルスのスタジオを訪れた。壁には彼らのヒーローたちのゴールド・ディスクが飾られ、隣のスタジオにはレコーディング中のキッスのメンバーがいることにも興奮しながらレコーディングを進めていると、とんでもない報せが舞い込んだ。
ワールド・ツアー中のローリング・ストーンズから、オーストラリア公演の前座のオファーが来たのだ。レコーディングは一旦中断され、メンバーたちは憧れのレジェンドと同じステージに立つために大急ぎで母国へ飛んで帰った。
そんな破格の幸運も話題となって、彼らは注目を集め、デビュー・シングルの「アー・ユー・ゴナ・ビー・マイ・ガール」は世界的なヒットとなった。当時〈ガレージ・ロック・リヴァイヴァル〉が流行中だった背景もまた、彼らには重ねて幸運だったと言えるだろう。
本作は2003年9月にリリースされ、全世界で400万枚以上を売る大ヒットとなった。
【オリジナルCD収録曲】
1 ラスト・チャンス
2 アー・ユー・ゴナ・ビー・マイ・ガール
3 ロールオーヴァー・D.J.
4 ルック・ホワット・ユーヴ・ダン
5 ゲット・ホワット・ユー・ニード
6 ムーヴ・オン
7 レディオ・ソング
8 ゲット・ミー・アウタ・ヒア
9 コールド・ハード・ビッチ
10 カム・アラウンド・アゲイン
11 テイク・イット・オア・リーヴ・イット
12 レイジー・ガン
13 ティモシー
ただただ、もう、昔ながらのロケンロールだ。
1950年代に生まれたロックンロールは、50年経ってもまだ愛されてるんだなあ、とわたしは感慨深く思ったものだった。
独創性に欠けるという批判も当時は多くあったようだ。わたしも本音を言うと心の底では「ちょっとダサいな。まあオーストラリアだからな」などと差別的なことを思ったりもした。もちろん口に出したことはない。
でも「ダサい」のもロックンロールの魅力のうちなのだ。AC/DCだって、ラモーンズだって、キッスだって、みんなダサいと言えばダサいじゃないか。でもロックンロールとはそういうものだ。
熱くて、騒々しくて、バカげていて、狂っている、「ダサかっこいい」のがロックンロールなのだ。何より400万枚という、世界に愛された実績、その需要の大きさが、すべてのチンケな批判をどうでもいいものにした。
母国でローリング・ストーンズと同じステージに立ち、キース・リチャーズと楽屋でブルースをセッションした幸運な経験を経た後で再開された本作のレコーディングは、その熱量が明らかに違ったものになったのだろうと想像できる。本作の力強く自信に溢れた演奏がそれを物語っている。
↓ 全米29位、全英16位の世界的ヒットとなった「アー・ユー・ゴナ・ビー・マイ・ガール」。ちなみにお笑いコンビ、ダイノジの大地が2006年のエアギターの世界大会で優勝した時にプレイしたのがこの曲だった。その映像を見たジェットのメンバーは抱腹絶倒し、後にライブのゲストに大地を呼んだそうだ。
↓ 全米37位、全英28位まで上昇したバラード・ソング「ルック・ホワット・ユーヴ・ダン」。母国オーストラリアでは14位と、彼らにとって最もヒットした曲となった。
(Goro)
