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Kasabian
“Kasabian” (2004)
しばらく仕事に熱中しすぎていた当時のわたしは、数年ぶりに最新のロックを聴いてみたもののなかなかピンとこなかったのだけど、ようやく一聴して「おおっ!」と思えるものに出会い、「これこれ!」と喜んだのがこのカサビアンだった。
90年代ロックで育ったわたしには、カサビアンの音楽がストーン・ローゼスやプライマル・スクリームの直系と言えるようなものだったので、理解がしやすかったのだ。
なので初めて聴いたときから他人のような気がしなかったのである。
古い友人の、息子みたいなものだ。
よお、カサビアン。元気か? なんて。
ロックとダンスを融合するというお馴染みの手法ながら、独特の不穏な雰囲気とグルーヴ感がたまらなく良い。アートワークもまるでテロ組織みたいで不穏なイメージを増強している。
毒性のあるエレクトロニカと攻撃的なバンド演奏は、プライマル・スクリームほどの実験的な複雑さや凶暴性はなく、その分シンプルで聴きやすい。ただ今あらためて聴き直すと、そのシンプルさゆえの薄っぺらさを感じることも否めないが。
本作は、彼らの地元である英国レスター奥深くの人里離れた農家を借り、メンバー全員で共同生活を送りながら制作されたという。これはザ・バンドなどのオールド・ロックの手法に倣ったものだという。それについてフロントマンのトム・ミーガンは次のように語っている。
「俺たちは、都会の誘惑から離れて精神的なスペースを確保するためにあそこへ行ったんだ。もし街に留まっていたら、俺たちはアルコール中毒か薬物中毒になっていただろうね。それが真実さ。毎晩どんちゃん騒ぎをしていただろうからね」(The Independent紙インタビュー 2004年9月10日)
なんと、意外にも真面目な奴らだったのだ。ちっともテロリストじゃなかった。
本作は2004年9月にリリースされ、全英4位、100万枚を超える売り上げを記録した。日本でもオリコン17位まで上昇するヒットとなったが、アメリカでは94位と反応が悪かった。
【オリジナルCD収録曲】
1 クラブ・フット
2 プロセスド・ビーツ
3 リーズン・イズ・トリーズン
4 I.D.
5 オレンジ(インタールード)
6 L.S.F.(ロスト・ソウルズ・フォーエヴァー)
7 ランニング・バトル
8 テスト・トランスミッション
9 ピンチ・ローラー(インタールード)
10 カット・オフ
11 ブッチャー・ブルース
12 オーヴァリー・ストライプ
13 U・ボート
地を這い床を叩くヘヴィなベースラインと鋭く攻撃的なギターリフ、サイケな電子音が絡まり、中毒性が高いグルーヴが彼らの持ち味だ。
2004年は、停滞していた英国ロック・シーンにオリジナリティあふれる新人バンドたちが続々と登場して急激に活性化した年だったが、カサビアンもまたそんな新人バンドのひと組として、シーンの活性化に大きく貢献した。
オアシスのリアム・ギャラガーはカサビアンを次のように絶賛したという。
「お前らには根性がある。本物のバンドだ!」(英メディアGigslutz)
↓ アルバム冒頭から強烈なインパクトを与える、彼らの代名詞的名曲「クラブ・フット」。
↓ 全英10位まで上昇したシングル「L.S.F.」。ライヴでは観客が大合唱になる代表曲だ。プライマル・スクリームっぽいが、わたしはこれがいちばん好きだ。
(Goro)
