The Shins
“Wincing the Night Away” (2007)
NME誌で「2000年代のアルバムBest100」に選ばれていたこと以外にはなんの予備知識もなく聴き始めて、わたしの鋭い聴覚と冴え渡る直感で以下のように解析した。
アコースティック楽器とシンセサイザーを融合させた新鮮なサウンド。イギリスのインディー系のバンドだろう。
キュアーのロバスミのような歌声。ヴォーカルは若くてシュッとしたイケメンで、メンバーも学生みたいな雰囲気の若者たちだろう。
明るく親しみやすいメロディーの繊細な楽曲が特徴だけど、残念ながらメインストリームでは好まれるタイプではなく、売れないだろう。
そんなふうに想像しながら聴いていたのだが、ちゃんと調べてみると、見事に全部間違っていた。
まず彼らは、信じ難いことにアメリカのニューメキシコ州出身のバンドであった。
さらには、良い声のヴォーカルはイケメンの若者ではなく、ハゲかかった当時37歳のオッサンであり、他の3人のメンバーも髭面や太ったオッサンたちであった。
そしていちばん予想外で驚いたのは、本作はなんと全米2位まで上昇した大ヒット作であったことだ。
まだまだわたしも耳の修行が足りないようだが、それにしても2000年代のアメリカからは、イギリスのバンドとしか思えないような音楽性のバンドがやたらと出てきたのも事実だ。インターポールだとか、キラーズだとか、ラプチャーだとか。古い頭のロック・ファンのわたしにはいつもそのことに驚き、そして嬉しくなる。
本作は2007年1月にシアトルのインディ・レーベル、サブ・ポップからリリースされた、ザ・シンズの3rdアルバムである。
【オリジナルCD収録曲】
1 SLEEPING LESSONS
2 AUSTRALIA
3 PAM BERRY
4 PHANTOM LIMB
5 SEALEGS
6 RED RABBITS
7 TURN ON ME
8 BLACK WAVE
9 SPILT NEEDLES
10 GIRL SAILOR
11 A COMET APPEARS
ビートルズやビーチ・ボーイズの影響を感じさせる、哀愁を帯びたキャッチーなメロディとコーラス・ワーク。サイケデリックやフォークの要素を掛け合わせた60年代風サイケ・ポップに、シンセやドラムマシン、ループなども導入した、言わば2000年代のソフト・ロックだ。
↓ バンドの全楽曲を書いているフロントマンのジェームズ・マーサーの最高傑作とも評される名曲「ファントム・リム」。全米シングルチャート86位はバンドの最高位でもある。
↓ 本作から3枚目のシングル・カットとなった「ターン・オン・ミー」。わたしはこの曲がいちばん好きだ。
(Goro)
