人肌素材で出来た怪物 〜レディオヘッド『アムニージアック』(2001)【わたしが選ぶ!ロック名盤500】#388

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【わたしが選ぶ!ロック名盤500】#388
Radiohead
“Amnesiac” (2001)

前作『キッドA』からわずか8ヶ月後にリリースされた、レディオヘッドの5thアルバムだ。

収録曲は『キッドA』と同時期に録音されたということなので、さては『キッドA』が予想以上に売れたので、アウトテイクを蔵出ししてきたなと思ったのだけれども、どうやらそういうわけでもないらしい。

もともとは2枚組で出そうという構想もあったらしいのだけれど、内容があまりにも濃密すぎるということで、2作に分けて出すことにしたらしい。

そんなわけなので『キッドA』と同じような『キッドB』なのかと思いきや、それでもちょっと違う。キッドA君がエレクトロニカの印象が強いのに対して、こちらのキッドB君はピアノやホーンなど生楽器の音が印象的だ。

わたしの勝手な印象だが、A君が半分金属で拵えた怪物だったのに対して、B君はシリコンや超軟質ポリウレタン樹脂といった人肌風の素材で拵えた怪物のような感じだ。どっちも怪物には違いないけれども、嘘でも人肌っぽい感触のあるB君のほうにわたしは魅かれる。

なんて、ちょっと変態チックな例えになってしまったが、実際、わたしは『キッドA』よりもこちらの方が好きなのだ。全体に通底する謎めいた雰囲気、虚無的な中にもそこはかとない情感、美しい歌と奇妙に心に響く音響世界。この時期のレディオヘッドはホント、とんでもないものを作ったなあ、と今さらながら感心してしまう。

【オリジナルCD収録曲】

1 パックト・ライク・サーディンズ・イン・ア・クラッシュト・ティン・ボックス
2 ピラミッド・ソング
3 パルク / プル・リヴォルヴィング・ドアーズ
4 ユー・アンド・フーズ・アーミー?
5 アイ・マイト・ビー・ロング
6 ナイヴズ・アウト
7 モーニング・ベル / アムニージアック
8 ダラーズ・アンド・センツ
9 ハンティング・ベアーズ
10 ライク・スピニング・プレイツ
11 ライフ・イン・ア・グラスハウス

本作も全英1位、全米2位、そして日本のオリコンでも2位と、世界的なヒットとなった。

本作についてトム・ヨークは、次のように語っている。

「アートワークで説明するのが一番わかりやすい。『キッドA』はすべてが遠くの出来事だった。丘の向こう側で火事が起きているような。でも『アムニージアック』では、君は実際に火事が起きているその森の中にいるんだ」( James Doheny著『Radiohead: The Stories Behind Every Song』)

わかったようなわからないような例えではあるが、まあ芸術なんてものは総じて、なんとなくわかったようなわからないようなところがあるくらいの方が魅力的なものなのだ。

↓ 先行シングルとしてリリースされた「ピラミッド・ソング」。ピアノの弾き語りを土台に、ストリングスやオンド・マルトノ、ドラム、ウッドベースといった生楽器で演奏される、世にも美しいバラードだ。全英5位のヒットとなった。

Radiohead – Pyramid Song

↓ 2ndシングルとして全英13位まで上昇した「ナイヴズ・アウト」。アルバムの中では最もオーソドックスなギター・ロック風に聴こえるけれども、実は完成までに373日ものスタジオの時間が費やされたという。ザ・スミスのようなギター・サウンドを目指して、完璧な形になるまで気が狂うほどの微調整が繰り返されたらしい。きっと何人かは気が狂ったに違いない。

Radiohead – Knives Out

(Goro)

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