⭐️⭐️⭐️⭐️
Kasabian
“West Ryder Pauper Lunatic Asylum” (2009)
カサビアンを「最近の若いバンド」なんて思っていたら、いつのまにか彼らも四十代も半ばのおじさんバンドになっていた。
歳を取ると時が過ぎるのが速すぎて「ちょっと前の」と思っていることが実際には20年も前だったりするので困ってしまう。
カサビアンは90年代ロックの影響を色濃く受け継いでいるバンドだった。
ストーン・ローゼスがロックとダンスを融合して生み出したグルーヴを受け継ぎ、オアシスのメロディを重視したソングライティングを受け継ぎ、プライマル・スクリームのロケンロール・センスとチャレンジ精神を受け継いだ。
だからと言って彼らはただのモノマネバンドではない。90年代英国ロックを代表する3組の遺伝子を継ぎながら、さらに新しいサウンドを生み出した変異株であり、60年代のブリティッシュ・ビートから代々進化しながら受け継がれてきた英国ロックの、血統書付きの末裔と言える。
ロックの汗臭さや不穏な空気もちゃんと匂わせながら、すっきりとクールに仕上げるのが上手い、数少ない正統派英国ロックバンドだった。
2009年6月にリリースされた3rdアルバムである本作も、いかにも彼ららしい、実験性と、遊び心と、ポップなわかりやすさと、攻撃的なカッコ良さが同居したアルバムだ。
【オリジナルCD収録曲】
1 アンダードッグ
2 ホウェア・ディッド・オール・ザ・ラヴ・ゴー?
3 スワーフィガ
4 ファスト・フューズ
5 テイク・エイム
6 シック・アズ・シーヴズ
7 ウェスト・ライダー・シルヴァー・ブレット
8 ヴラッド・ジ・インペイラー
9 レディース・アンド・ジェントルメン、ロール・ザ・ダイス
10 シークレット・アルファベッツ
11 ファイア
12 ハピネス
サイケデリックやエレクトロニカに、マカロニ・ウエスタン風の映画音楽的な要素も加え、ローリング・ストーンズの『ゼア・サタニック・マジェスティーズ・リクエスト』に大胆に手を加えてより良くしたような印象のアルバムでもある。なんというか、とにかく自由で、型破りで、悪夢的である。
デビューの頃は畑泥棒みたいだった彼らも、すっかりロックスターらしくなり、アルバムは全英1位を獲得し、日本でもオリコン11位と世界的な支持を獲得した。
↓「おれは負け犬だ。子守唄を聞かされてるような人生だよ。でも決してこの列車から降りたりしない。降りずにずっと生きていくんだ」と歌うオープニング・トラック「アンダードッグ」。攻撃的でありながらメロディアスでもあり、野蛮な色気を放つグルーヴがいかにもカサビアンらしい。
↓ 全英3位まで上昇し、彼らの最大のヒット・シングルとなった「ファイア」。
(Goro)
