1970年代にカリブ海の島、ジャマイカでそのスタイルを完成させた「レゲエ」という音楽は、当時の英国のロック・ミュージシャンたちに衝撃を与え、さらには世界へと拡散されていった。
とくに、1974年にエリック・クラプトンがカバーした、ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズの「アイ・ショット・ザ・シェリフ」の大ヒットは、世界に「レゲエ」と「ボブ・マーリー」の名を知らしめることに大きく貢献した。
ボブ・マーリーはジャマイカの歴史上最大の有名人となり、ジャマイカとレゲエのシンボルとなった。
国民的英雄としてジャマイカの政治にも影響を及ぼし(そのせいで銃撃されて重傷も負った)、またその楽曲を通じて「ラスタファリ」の思想や、赤と緑と黄色のラスタカラーを世界中に広めた、20世紀のカリスマのひとりとなった。
しかしボブ・マーリーはその絶頂期だった1981年、脳腫瘍を患い、36歳で早逝する。
ボブ・マーリーの音楽は、力強い響きと、豊かな歌と、切実な思いが心を震わす、圧倒的なパワーを持った音楽だ。
今から40年ほど前、わたしがボブ・マーリーにハマっていた頃、これ以上の音楽はないだろうと思っていたものだ。ボブ・マーリーの音楽にはそんな魔力のようなものがある。
以下は、わたしが愛するボブ・マーリーの至極の名曲ベストテンです。
Trenchtown Rock (1971)
ボブ・マーリーがまだメジャー・デビューする前、1971年にリリースされたシングルで、1975年発表の名盤『ライヴ!』のオープニング・ナンバーとしても収録されている。これはもう、スタジオ版より断然ライヴの方がいい。
トレンチタウンとは、ボブ・マーリーやピーター・トッシュ、バニー・ウェイラーズたちが育った、レゲエ発祥の地として知られる街の名前だ。すべてはそこから始まったのである。
Stir It Up (1973)
1967年に、ザ・ウェイラーズのデビュー・シングルとしてリリースされた、ソウル・バラード風の曲。その後、1971年にアメリカ人のシンガー、ジョニー・ナッシュがカバーし、全米12位の大ヒットとなった。
1973年にボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズのメジャー・デビュー・アルバム『キャッチ・あ・ファイア』で再録音された。
Exodus (1977)
1977年発表のアルバム『エクソダス』のタイトル曲。不穏なイントロから始まり、ピアノが入り、ヴォーカルが入り、ぶっといベースが入ってくる、こういうカッコいい作りはホント、抜群に上手いと思う。
歌詞やその思想で語られることも多いボブ・マーリーだけれども、しかし彼の音楽の最大の魅力は、ロックを超えるほどの圧倒的な凄味のあるサウンドのカッコ良さなのだ。
Get Up, Stand Up
1973年のアルバム『バーニン』の冒頭を飾る曲。虐げられ、権利を奪われた人々に対して、「目を覚ませ、立ち上がれ!」と励ます歌だ。
ライヴでは最後に演奏されることが多く、1975年発表の名盤『ライヴ!』でも会場が一体となった極めて熱い演奏が繰り広げられている。
I Shot the Sheriff (1973)
1973年に発売されたシングル。この曲をエリック・クラプトンがカバーして大ヒットしたことから、世界中で「レゲエ」と「ボブ・マーリー」の名が知られることになる。
特徴的なリズムに、太いベース音を中心としたパワフルなサウンド、そして「おれは保安官を撃った」という反社会的な歌詞は、衝撃的であった。
Redemption Song (1980)
ボブ・マーリーの生前最後のアルバム『アップ・ライジング(Uprising)』収録曲。彼の楽曲としては異色の、ギターの弾き語りによる、心に沁みる名曲だ。
まるで死期を悟っていたかのような深い想いが感じられるこの歌を、ボブ・マーリーの最高傑作に挙げるファンも多い。
Lively Up Yourself (1974)
1974年の名盤『ナッティ・ドレッド(Natty Dread)』の冒頭を飾る曲。久しぶりにボブ・マーリーを聴きたくなったときはいつも最初にこの曲を大音量でかける。
ベースのリフに床と尻穴がびりびりと震えるぐらいの爆音が好みだ。若い頃はこれでよく母親に怒鳴られたものだった。大人になってからはカミさんに怒られ、やがては隣の部屋で勉強中の娘に叱られるようにもなった。
でもわたしは意に介さない。わたしにとってボブ・マーリーは常に「抵抗の音楽」なのだ。
Is This Love (1978)
1978年発表の名盤『カヤ』から生まれたヒット・シングルだ。全英9位と、最も売れたシングルとなった。
初期の頃はぶっといガンジャをくわえた革命戦士のようなイメージだったボブ・マーリーが、銃撃されて重傷を負うなど幾多の苦難を乗り越えて至った境地のような、明るくポップに愛を歌う、万人向けの代表曲だ。
Concrete Jungle (1973)
ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズのメジャーデビュー・アルバム『キャッチ・ア・ファイア(Catch a Fire)』のオープニング・トラックだ。
空気を揺るがし、尾てい骨にビリビリ突き刺さる暴力的なベースが支配する、あまりに不穏で心をザワつかせる凶悪なサウンドにわたしは衝撃を受けたものだった。
No Woman, No Cry (1974)
ボブ・マーリーのいちばん有名な曲と言えばこの曲だろう。わたしもこの曲がいちばん好きだ。40年以上聴き続けても、それは変わらない。ボブ・マーリーが、すべての女性たちに向けて「泣かないでくれ、泣いちゃダメだ」と歌う優しいメッセージは感動的だった。
後半で何度も何度も繰り返される「Everything’s gonna be all right!(大丈夫、なにもかもうまく行く!)」という力強いメッセージにはいつもグッとくる。
以上、ボブ・マーリー【名曲ベストテン】でした。
ボブ・マーリーのアルバムを最初に聴いてみるなら、ベスト盤の『レジェンド』か、名盤『ライヴ!』あたりが特にお薦め。
まあしかし、ボブ・マーリーには駄作と言われるアルバムが1枚もない。どれから聴いてもハズれはないのでご安心を。
(Goro)
