21世紀のロックンロール 〜ザ・ストロークス『イズ・ディス・イット』(2001)【わたしが選ぶ!ロック名盤500】#391

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【わたしが選ぶ!ロック名盤500】#391
The Strokes
“Is This It” (2001)

これ、最初聴いたときはわかんなかったなあ。なにがいいのか。

当時のわたしはもう三十代半ば。そうか、もうリアルタイムのロックがわからなくなるお年頃なのね、と思ったものだ。なにしろ彼らはわたしよりちょうど一回り年下なのだ。そんな子供たちの音楽に共感したり、ましてや憧れたりするわけもなかろうと。

ロックンロールなのはわかるけれども、いや、その歌い方はなんだよ。酔っ払ってんのか。真面目にやれ。それでも歌手か。

なんて思いながら当時は聴いたのだけど、今になって思えば、あれはたとえばセックス・ピストルズが出てきたときの、適齢期を過ぎたロック・ファンとまったく同じ反応をしてたんだなあと思う。

パンク・ロックだかなんだか知らんが、ジョニー・ロットンとやらのその歌い方はなんだよ。ふざけてんのか。真面目にやれ。それでも歌手か。

そう思ったに違いないのだ。

そう考えると、状況もよく似ている。

ロックというものは放っておくとすぐに複雑化し、肥大化し、商業化し、リアリティを失っていくものだ。そんなロックが幅をきかせる時代になると、まるでその反動のように、原点回帰したスピード感あふれる粗っぽくてシンプルなロックンロールが登場する。セックス・ピストルズやラモーンズがそうだったように。

そして本作もまた、90年代のオルタナティヴ・ロックがすっかり商業化され、すでにオルタナティヴでもなんでもなくなった、そんな時代に登場した、反動分子である。

本作は米ニューヨークのアッパーウエストサイドで結成された5人組、ザ・ストロークスの1stアルバムである。

【オリジナルCD収録曲】

1 イズ・ディス・イット
2 ザ・モダン・エイジ
3 Soma
4 ベアリー・リーガル
5 サムデイ
6 アローン、トゥゲザー
7 ラスト・ナイト
8 ハード・トゥ・エクスプレイン
9 ニュー・ヨーク・シティ・コップス
10 トライング・ユア・ラック
11 テイク・イット・オア・リーヴ・イット

全曲を書いているのがその酔っぱらいみたいなヴォーカリストの、ジュリアン・カサブランカスである。お金持ちの家の子らしいが、やっぱり才能はある。そのうえセンスもある。

彼は最新のデジタルレコーディングの「クリーンすぎる音」を嫌い、プロデューサーのゴードン・ラファエルに対し、「まるで1970年代に録音されたデモテープを、タイムカプセルから掘り起こしたような音にしてくれ」と要求したという。

もちろんただの懐古的なバンドではない。ツインギターが緻密に絡んだり、ベースラインが歌い出したりといったこのバンドの新鮮な個性が、古臭さなどまったく感じさせない、21世紀のロックンロールを創造したのだ。

当時はよくわからなかったけれども、あらためて何度か繰り返し聴いてみると、だんだん味がわかってくる。噛めば噛むほど味が出る、アタリメみたいな感じだ。

粗い質感のサウンドが心地よく、軽快で風通しの良いロックンロールが気持ちいい。あの酔っ払いみたいなダルそうなヴォーカルも、慣れてくるとたまらなくクールに聴こえる。この歌い方もまた、発明なのだ。

さらに聴けば聴くほどに、かつてのニューヨークの先輩たち、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの地下フロアの退廃的な香り、ジョーイ・ラモーンのポップな直情、テレヴィジョンのクールな美意識などのDNAを感じたりもするのである。

↓ 米オルタナチャート5位、全英14位まで上昇した初期の代表曲「ラスト・ナイト」。イントロはトム・ペティの「アメリカン・ガール」が念頭にあったとジュリアンは認めている。

The Strokes – Last Nite (Official HD Video)

↓ 本作屈指の名曲「サムデイ」。わたしが最初に好きになったのもこの曲だった。

The Strokes – Someday (Official HD Video)

(Goro)

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