ジョニー・キャッシュ/リング・オブ・ファイア (1963)

Ring of Fire (song) - Wikipedia

【カントリーの快楽】
Johnny Cash
Ring of Fire (1963)

1963年4月にリリースされ、米カントリー・チャートで7週連続1位、ジョニー・キャッシュにとってキャリア最大のヒットとなった代表曲であり、また、カントリーの歴史を塗り替える不朽の名曲としても知られている。

この曲を書いたのは当時のカーター・ファミリーのジューン・カーターとシンガー・ソングライターのメル・キルゴアだ。

当時、ジョニー・キャッシュとジューン・カーターはそれぞれ既婚者でありながら、W不倫の真っ只中だった。

ジューンはジョニーに対する抑えきれない感情と、彼の薬物依存の危うさに恐怖も感じていたという。その深く激しい底なしの愛の苦悩を「炎の輪をくぐりながらどこまでも堕ちていく」と表現して歌にしたという。

オリジナルは、ジューンの妹であるアニタ・カーターがフォーク調の弾き語りアレンジで歌い、1962年のアルバム『フォーク・ソングス・オールド・アンド・ニュー』に収録され、シングル・カットもされたが、ヒットには至らなかった。

この曲を聴いたジョニー・キャッシュは、なぜかメキシコのマリアッチ風のトランペットが入った伴奏でこの曲を聴く夢を見たという。

そして彼は、アニタに「半年経ってヒットしていなかったら、俺のアイデアでカバーさせてくれ」と頼み、半年後に夢に見た通りに、カントリーとしては異例であった、ホーンを加えたアレンジで録音し、上記の通り、大成功を収めた。

夢の逸話が本当なのかどうか、もちろん裏を取ったわけではないが、わたしはこの手の伝説は全部本当のことと信じることにしている。音楽の世界はファンタジーであっていいのだ。

この曲にはわたし自身にも、ごくごくささやかな思い出のワンシーンがある。

今から10年ほど前、ある寒い冬の夜に、夜遅くまで近所の塾に通っていた中三の娘を迎えに行った時のことである。

徒歩で迎えに行ったわたしは、塾の前でワイヤレスイヤホンを付けて、ジョニー・キャッシュのこの曲をスマホで聴きながら、寒空の下で娘が出てくるのを待っていた。

やがて塾から出てきた娘はわたしを見つけて駆け寄ると、無言でわたしのイヤホンの片方を引き抜き、自分の耳に装着した。そして寒さのために小走りに歩き出し、白い息を吐きながら、「お~、いい声だねえ~」とちびまる子ちゃんみたいな言い方で言い、そのまま二人で聴きながら、徒歩3分の距離を帰宅したのだった。

たったそれだけの、ごくささやかなワンシーンだけれども、わたしにとっては、その年いちばんグッときた思い出であり、10年が経った今でも忘れられないでいる。

Johnny Cash – Ring Of Fire (The Best Of The Johnny Cash TV Show)

↓ アニタ・カーターによるオリジナル・バージョン。

[Love's] Ring Of Fire

(Goro)