わたしにとって「カッコいい女性ロッカー」と言ったら、シェリル・クロウにとどめをさす。
1994年のデビュー以来、カントリーに軸足を置いたシンガー・ソングライターとして、下手なハード・ロックやパンク・ロックの女子アーティストなど足元にも及ばない、圧倒的にカッコいい女子ロッカーであり続けている。
デビューしてすぐに大ヒットをかっ飛ばしたので、たぶんレコード会社やマネジメントはその時点でポップスターに仕立てようとしたに違いない。カントリー系の女性歌手のよくある転身パターンだからだ。
でもきっと拒否したんだろうなあ、と想像する。
1stアルバムが完成したのにそのプロデュース・ワークが気に入らず、レコード会社を説得して録り直させたように。
たしかにセールスのためにポップスターを演じているところも少しはあるけれど、カントリー・ロックンロールに置いた軸足だけはブレなかった。
その意志の強さというか、自分の音楽をしっかり持っている強さみたいなものがカッコいい。そして美しい。
以下は、わたしが愛するシェリル・クロウの至極の名曲ベストテンです。
Steve McQueen
4thアルバム『カモン・カモン(C’mon C’mon)』からの、1960~70年代に活躍した名優スティーヴ・マックイーンの名を冠したシングル。
「スティーヴ・マックイーンのように、私たちに必要なのは高速マシンだけ」と歌い、70年代の精神に溢れた熱いロック・サウンドを聴かせる。
Strong Enough
デビュー・アルバム『チューズデイ・ナイト・ミュージック・クラブ(Tuesday Night Music Club)』からのシングルで、全米5位の大ヒットとなった。
「あなたはわたしの男になる、充分な強さを持ってる?」と歌う、シンプルなメロディとサウンドに、リアルな感情が込められた歌だ。
そんなことを訊かれたら、わたしなら裸足で逃げ出すだろうけど。
Soak Up the Sun
4thアルバム『カモン・カモン(C’mon C’mon)』からのシングル。全米17位のヒットとなった。
シェリル・クロウの中では最もポップな楽曲のひとつで、歌詞も、まあとにかく太陽の光を浴びてリラックスしようよ、という内容の歌だ。PVもリゾート気分満点。
All I Wanna Do
1st『チューズデイ・ナイト・ミュージック・クラブ(Tuesday Night Music Club)』からのシングルで、全米2位、全英4位の大ヒットとなった。
電子楽器全盛の時代に、あえてのアコースティック楽器による躍動感のあるサウンドがカッコいい、シェリル・クロウを一躍世界的スターにした代表曲だ。
My Favorite Mistake
3rd『グローブ・セッションズ(The Globe Sessions)』からのシングルで、全米20位、全英9位のヒットとなった曲。
付き合い始めた男の不誠実さを鋭く見抜いて、「わたしはこんなゲームを楽しむようなバカじゃない。これはわたしのお気に入りの失敗」と歌う、意味深な大人の恋愛の歌だ。
Good Is Good
5thアルバム『ワイルドフラワー(Wildflower)』からのシングル。1度聴いただけで耳に残るキャッチーなメロディが印象的な良い曲なのに、全米64位とあまりヒットしなかった。
プロモーションが足りなかったのかなんなのか、うまくハマっていたらシェリル・クロウの代表曲のひとつにもなり得た曲だと思う。
Everyday Is a Winding Road
2nd『シェリル・クロウ(Sheryl Crow)』からのシングルで、全米11位のヒットとなった、彼女の代表曲のひとつ。日本でも日産シルヴィアのCMで使用された。
カントリー・ロック風の乾いたサウンドと疾走感が気持ちいい。まさにドライヴにぴったりの曲だ。
Picture(with Kid Rock)
キッド・ロックとシェリル・クロウの共作・デュエットで、全米4位の大ヒットとなったカントリー・バラードの名曲。
2人の声の相性も素晴らしく、2人ともちょっとやんちゃで自由が過ぎるところもあるけど芯はしっかりしてる、似た者同士のカップルの、リアルな告白のように聴こえる。
The First Cut Is the Deepest
『ヴェリー・ベスト・オブ・シェリル・クロウ(Very Best of Sheryl Crow)』に新録音として収録され、シングル・カットもされた、全米14位のヒット曲。
原曲はキャット・スティーヴンスの1967年の作品。
ロッド・スチュワートが1977年にカバーして全英1位のヒットとなった、心の奥深くまで突き刺さるようなバラードの名曲だ。
動画はシェリル・クロウ・バンドによる素晴らしいライヴ演奏。
If It Makes You Happy
2nd『シェリル・クロウ(Sheryl Crow)』からのシングルで、全米10位のヒットとなった代表曲。わたしは彼女のことをこの曲で知り、今でもこの曲が一番好きだ。
商売女風のメイクとファッションに身を包み、鬼のような形相でシャウトするPVもまた素敵だ。
入門用にシェリル・クロウのアルバムを最初に聴くなら、『ヴェリー・ベスト・オブ・シェリル・クロウ(Very Best of Sheryl Crow)』がお薦めだ。最初に聴くべき代表曲はすべて網羅されている。
以上、シェリル・クロウ【名曲ベストテン】SHERYL CROW Greatest 10 Songsでした。
(by goro)