ピーター・ガブリエルは、1969年にジェネシスのヴォーカリストとして19歳でデビューし、75年に脱退。77年にソロデビューすると、電子楽器やコンピューターを使ったり、サンプリングを使ったり、アフリカ音楽の要素を取り入れたりと、独自のサウンドを追求した。
5枚目のアルバム『So』でその独自性をポップに開花させると、ユニークで凝ったPVも注目を集め、世界的なヒットとなった。
プログレが苦手でジェネシスも避けてきたわたしが、それでもピーター・ガブリエルは好きになれたのは、その独自のサウンドの面白さもさることながら、メロディ・メーカーとしての才能と、その情熱的な渋い声に因るところが大きかった。
以下は、わたしが愛するピーター・ガブリエルの至極の名曲ベストテンです。
Steam
よりアグレッシヴなサウンドになった6作目のアルバム『Us』収録曲。
ダンスビートながら、ロック的なアプローチがカッコいい。全英10位、全米32位。
Blood of Eden
『Us』からの3rdシングルで、シンニード・オコナーをバック・ヴォーカルに配した美しいスロー・ナンバー。独特のサウンドと地味に渋いメロディがたまらない。
Big Time
世界的ヒットとなった5thアルバム『So』からのシングルで、全英13位、全米8位のヒットに。
パーカッシヴなベースがカッコいい、ファンキーなダンスナンバー。ドラムはポリスのスチュアート・コープランド。
Here Comes the Flood
1stアルバム『ピーター・ガブリエル』のラストを飾る曲。「主よ、洪水がやってきます」と、世界の終末を詩的に歌う荘厳な曲。
Biko
南アフリカ共和国の人種隔離政策に反対した活動家スティーヴ・ビコが警察に逮捕され、暴行を受けて死亡した1977年の事件ついて歌った歌。
アフリカ音楽に影響を受けながら作られたオリジナリティあふれる代表曲だ。
Solsbury Hill
ソロとして最初のシングルで、初期の代表作。全英13位。
プログレ的なアプローチとイーグルスのような爽やかなサウンドが融合したような独特の名曲だ。
Sledgehammer
世界的ヒットとなった5th『So』から生まれた、ピーター・ガブリエルの代表曲。明るい曲調とキャッチーなメロディ、ユニークで凝ったPVが話題になり、全英4位、全米1位の世界的大ヒットに。
Don’t Give Up
『So』収録の、ケイト・ブッシュをft.した美しい曲。全英9位のヒットとなった。誇りも居場所も失い、人生に絶望している男に対し、「あきらめないで、きっとうまくいくから」とケイト・ブッシュが女神のような優しく美しい声で慰める曲。PVではずっと2人で抱き合ったまま歌われる。
Games Without Frontiers
初めて全英1位となった3rd『ピーター・ガブリエルⅢ』から生まれた、ソロになって初めてのTOP10ヒット(全英4位)となった。バック・ヴォーカルでケイト・ブッシュが、この世のものとは思えないあの世のもののような美しい声を聴かせる。
Red Rain
『So』のオープニング・トラック。シングル・カットもされ、全英46位、全米3位。あんまりこれをピーター・ガブリエルの最高作に挙げる人はいないかもしれないが、なぜかわたしは昔からこの曲が大好きだ。
歌メロはもちろん、アフリカン・ビートを昇華させたような16のバタバタしたビートもいいし、一見クールなイメージのピーター・ガブリエルの、情熱的なヴォーカルもいい。
入門用にピーター・ガブリエルのアルバムを最初に聴くなら、1990年のベスト盤『シェイキング・ザ・トゥリー(Shaking the Tree: Sixteen Golden Greats)』がお薦めだ。最初の5枚のアルバムから代表曲が網羅されている。
(Goro)