ザ・ビートルズ/アクロス・ザ・ユニバース (1969)

Across the Universe - Wikipedia

【60年代ロックの快楽】
The Beatles
Across the Universe (1969)

レノン&マッカートニー名義ではあるけど、実際にはジョン・レノンが書いた曲だ。山ほどあるジョンの名曲の中でも、この曲のメロディの美しさはまた格別である。

1968年のはじめ頃に録音されていたものを、翌年の世界自然保護基金のチャリティーとして発売されたコンピレーション・アルバム『NO ONES GONNA CHANGE OUR WORLD』に収録される形で発表されたのがオリジナル・バージョンだ。

このバージョンはビートルズの『パスト・マスターズ』にも収録されている。冒頭に鳥の羽ばたきの音が入っているやつだ。

『レット・イット・ビー』にも収録されているが、このバージョンはまたずいぶん印象が違う。プロデューサーを務めたフィル・スペクターが、テープの回転を遅くしてキーを半音低くし、さらに女性コーラスとオーケストラを加えているのだ。

このオーバー・プロデュースによって奇しくも、なんだかビートルズにもロックにも疲れたジョンの哀しみと無力感がにじみ、虚しい希望の歌のように聴こえる。ヴォーカルもギターもなんとなく音程が不安定な感じがまたほんのりと緊張感を孕んで良い感じだ。この『レット・イット・ビー』バージョンのほうがわたしは好みかもしれない。

サビの「僕の世界を変えられるものなんて無いんだ」という歌詞は、まあ一般の社会人ならそんなに頑固なのもどうかと思うけど、生涯にわたって純真で無敵の少年のようだった、いかにもジョン・レノンらしいなと思う。

↓『パスト・マスターズ』に収録された、 オリジナルの『NO ONES GONNA CHANGE OUR WORLD』バージョン。

Across The Universe (World Wildlife Fund Version / Remastered 2009)

↓ 『レット・イット・ビー』に収録された、フィル・スペクター・バージョン。

Across The Universe (Remastered 2009)

(Goro)