ブリティッシュ・ビート全盛時代の1965年にヤードバースのギタリストとしてデビューし、その後ジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズ、クリーム、ブラインド・フェイス、デレク&ザ・ドミノスと渡り歩き、ドラッグによる活動休止の後、74年に奇跡の生還を果たすなど、ギタリストとして神のように崇められる一方で、波瀾の音楽人生を送ったことでも知られている。
悪く言えば若い頃に職を転々としてなかなか落ち着かない若者みたいにも見えるし、ドラッグに溺れたり、親友の奥さんを寝取ったりと、まあいかにもロック・ファンが好みそうなアウトサイダー的なエピソードに事欠かないところも彼を伝説的な存在にしている所以かもしれない。
毀誉褒貶はあれ、50年以上に渡るロック界での存在感や貢献は大きく、名曲も数多く残している。
以下は、わたしが愛するエリック・クラプトンの至極の名曲ベストテンです。
After Midnight
1stアルバム『エリック・クラプトン・ソロ(Eric Clapton)』にも収録された、クラプトンのソロ・デビュー・シングル。全米18位のヒットとなった。
原曲はJ.J.ケイルが1966年に発表したシングル。原曲はもっとスローテンポでゆったりとした曲だ。
この優れたソングライター、J.J.ケイルの名前を世に広めたこともクラプトンの功績のひとつだ。
Motherless Children
立て続けの周囲の不幸もあり、ドラッグで身も心もボロボロになり、活動休止状態だった3年間を経ての復帰作『461 オーシャン・ブールヴァード(461 Ocean Boulevard)』のオープニング・トラック。
クスリも抜けたし、絶好調だぜ! とアピールするかのような、派手にスライドギターが鳴り渡る、勢いのある曲だ。
原曲はフォーク・ソングというか伝承曲のようなものらしいけど、そういう地味な曲をスピード感のあるロックンロールにするのが上手い人だとつくづく思う。
Tears in Heaven
映画『ラッシュ(Rush)』の主題歌として書かれた曲で全英5位、全米2位。オリコンでも1位になるなど、日本でも大ヒットした。
この曲は、クラプトンの自宅の窓から転落死した、当時4歳だった彼の息子に捧げた曲なのだそうだ。
想像するのも恐ろしい悲劇だ。わたしならその後の人生を生きていくことにすら耐えられないかもしれない。
クラプトンはきっと歌うたびに息子のことを想い出すのだろう。
哀しみは忘れてしまうのではなく、そうやってずっと強く想い続けながら乗り越えていくものなのかもしれない。
とにかくその心中はわたしなどの想像を絶するものだ。
Sign Language
クラプトンの76年のアルバム『ノー・リーズン・トゥ・クライ(No Reason to Cry)』収録曲。
ボブ・ディランをゲストに迎え、彼が書き下ろした新曲がこの曲で、クラプトンとディランのデュエットで歌われている。
たった10小節の歌メロを繰り返すだけの、いかにもディランらしい曲だけど、わたしはこの曲が昔から大好きなのだ。
Bell Bottom Blues
デレク・アンド・ドミノスとして発表した2枚組LP『いとしのレイラ(Layla and Other Assorted Love Songs)』収録曲。
原題の『レイラとその他諸々のラブソング』の、諸々のラブソングのひとつで、これも「レイラ」と同じくジョージ・ハリスンの妻だったパティに捧げた曲と言われている。
禁断の横恋慕パワーは凄いもので、名曲を2つも生んだ。
Let It Rain
70年発表の『エリック・クラプトン・ソロ(Eric Clapton)』からのシングルで、全米48位と大きなヒットにはつながらなかったものの、クラプトンが自分で書いて歌った曲としては最初のマスターピースと言えるだろう。
Wonderful Tonight
77年のアルバム『スローハンド(Slowhand)』からのシングルで、全米16位のヒットとなった、クラプトンの代表曲だ。
クラプトンのモッツアレラチーズみたいなトロけるギターがよく似合う、トロけるようなロマンチックな曲だ。
Cocaine
77年のアルバム『スローハンド(Slowhand)』のオープニング・トラック。
オクラホマ出身のシンガー・ソング・ライター、J.J.ケイルの曲で、クラプトンのカバーで世界的に有名になった曲だ。
クラプトン自身「影響を受けたアーティストを一人挙げるなら、J.J.ケイルだ」と公言しているほど、彼に心酔していた。
I Shot the Sheriff
『461 オーシャン・ブールヴァード(461 Ocean Boulevard)』に収録された、ボブ・マーリィのカバー。クラプトン初の全米1位シングル(全英9位)となった大ヒット曲だ。
「おれは保安官を撃った」という衝撃的な歌詞、血肉が湧き踊るような原始的なリズム、不穏な雰囲気なのに一度聴いたら忘れられないキャッチーなメロディー。
このカバーが世界中にボブ・マーリィの名を知らしめた。
Layla
ジョージ・ハリスンの妻だったパティに捧げた、クラプトンの代表曲。
禁断の恋のパワーは凄いもので、ロック史上最も有名なギター・リフを誕生させた。
曲は二部構成になっていて、後半の、デュアン・オールマンによるスライド・ギターも聴ける恋する感情が溢れ出るようなインストもまた美しい。
入門用にエリック・クラプトンのアルバムを最初に聴くなら、初期のベスト選曲に絞られた『Classic Eric Clapton』がお薦めだ。
以上、エリック・クラプトン【名曲ベストテン】ERIC CLAPTON Greatest 10 Songsでした。
(by goro)