ハウリン・ウルフ／ハウ・メニー・モア・イヤーズ (1951)【’50s Rock Masterpiece】

「史上初のロックンロール」と評される曲は実はいくつかあるのだけれど、この曲もまたそのひとつである。

ハウリン・ウルフは陸軍除隊後、メンフィスでバンドを組んで活動していたが、1951年に初めてレコーディングしたのがウルフ自身が書いたこの曲だった。当時すでに40歳だったが、アイク・ターナーに連れられて行った地元の「メンフィス・レコード・サービス」を訪ねたのだった。録音を手掛けたのはサム・フィリップスという白人の若者で、このメンフィス・レコード・サービスが、後のサン・レコードだった。

ここで録音した音源がシカゴのチェス・レコードに貸与された。そしてハウリン・ウルフのデビュー・シングルとして発売され、米R&Bチャートで4位まで上がるヒットとなった。

ここでギターを弾いているのがウィリー・ジョンソンという男である。どんな男かわたしは顔も知らないけれども、この1951年という時代にすでに山口冨士夫のギターぐらい歪んだ暗くて耳障りな音から、きっとイカれた野郎だったに違いないと想像できる。この曲が史上初のロックンロールではないかと挙げられる理由はこの彼のギター・プレイによるところも大きいのだろう。

残念ながらウィリー・ジョンソンは、ハウリン・ウルフが本格的に音楽活動をするためにチェス・レコードのあるシカゴへ移る際に、メンフィスを離れるのを嫌がり、バンドから脱退することになる。

仕方なくウルフは新しいギタリストを探さざるを得なかったが、後任に選ばれてウルフとシカゴへ行くことになったのがあの名ギタリスト、ヒューバート・サムリンだった。

彼はハウリン・ウルフの音楽を支え、ウルフが死ぬまで一緒にプレイした。

（Goro）