クロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤング『デジャ・ヴ』(1970)【最強ロック名盤500】#150

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【最強ロック名盤500】#150
Crosby, Stills, Nash & Young
“Déjà Vu” (1970)

言わずと知れた、アメリカのロック史に燦然と輝くスーパー・グループである。

と言っても「言わずと知れた」なんて思ってるのは今や50歳以上のオジサンやオバサンたちぐらいなもので、それより下の世代なんかは知らないだろうし、興味なんか1ミリもないのかもしれない。

スーパー・グループと呼ばれた所以は、メンバーがそれぞれ元有名バンドに所属していたからだ。

と言っても、バッファロー・スプリングフィールド、ザ・バーズ、ホリーズと、これもわれわれより下の世代は知ってるかどうかわからないバンドばかりなので、有名バンドとももはや言えぬし、だからスーパー・グループとも言えなくなってしまうわけだけれども、いやいや、今の若者たちが知ってるかどうかなんてことはまったくどうでもいいことだ。そんなことを度外視しても、やはりこのグループはスーパーグループなのである。

1stアルバムでは、クロスビー、スティルス&ナッシュという3人のグループだった。
わたしはこのベースの音が妙にゴリゴリと大きすぎる1stも嫌いではないが、ニール・ヤングが加わって4人になったこの2ndアルバムはよりロック的な要素が強くなり、曲調もバラエティに富み、サウンドの斬新さ、アルバムの完成度の高さも大幅に増している。

このアルバムのアコースティックを主体とした、それでいてフォークというよりは明らかにロックであるサウンド、そして驚くほどシンクロし溶け合うコーラス、さぞかし当時のリスナーに新鮮に響いたに違いないと想像できる。70年代の幕開けにふさわしい響きだったに違いない。

このグループは米国のみならずわが日本でも、当時の若者たちの支持を一身に集め、爆発的に売れた。

本作はそんなクロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤングが1970年3月にリリースしたアルバムだ。カッコ内は作者である。A5以外はそれぞれの曲の作者がリード・ヴォーカルもとっている。

【オリジナルLP収録曲】

SIDE A

1 キャリー・オン(スティルス)
2 ティーチ・ユア・チルドレン(ナッシュ)
3 カット・マイ・ヘア(クロスビー)
4 ヘルプレス(ヤング)
5 ウッドストック(ジョニ・ミッチェル)

SIDE B

1 デジャ・ヴ(クロスビー)
2 僕達の家(ナッシュ)
3 4+20(スティルス)
4 カントリー・ガール(ヤング)
5 エヴリバディ・アイ・ラヴ・ユー(スティルス)

アルバムは全米1位、全英5位の大ヒットとなった。
シングルではA5「ウッドストック」が全米11位、A2「ティーチ・ユア・チルドレンが同16位、B2「僕たちの家」が同30位となった。

スティルスの曲が3曲ある以外は他のメンバーが各々2曲ずつと、何やらバランスを配慮したような収録内容となっているが、実際、制作作業中はメンバー間で批判し合い、軋轢を生み、険悪な雰囲気であり、収録内容についてもいろいろと揉めたようだ。

たぶんバッファロー・スプリングフィールド時代にも険悪な関係だったスティルスとヤングがまた率先して空気を悪化させたのだろうと想像できる。

われわれ凡人は、そんなことなら初めからやらなきゃいいのにと思ってしまうが、しかしそんな状態でも最終的にはこんな名盤を作ってしまうのだから、ミュージシャンという人種はきっと、われわれ凡人の常識や尺度で測ってはいけない、特殊な人たちなのだろう。

収録曲ではジョニ・ミッチェル作の「ウッドストック」も良いが、わたしはヤングのファンでもあるので、やはりダントツで「ヘルプレス」が好きだ。

このアルバムはまたジャケがカッコいい。
なんだか当時のアメリカンニューシネマ、『俺たちに明日はない』や『明日に向かって撃て』を彷彿とさせるような、雰囲気のある写真だ。まるで、このあと全員死んだ犯罪集団みたいな。

↓ ジョニ・ミッチェル作、全米11位のヒットとなった「ウッドストック」。

↓ ニール・ヤングの初期の代表曲としても知られる名曲「ヘルプレス」。

(Goro)

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