はじめてのビル・ヘイリー&ヒズ・コメッツ【必聴名曲5選】5 BILL HALEY & HIS COMETS Songs to Listen to First

The Absolutely Essential 3CD Collection

1955年、映画『暴力教室』の主題歌としてビル・ヘイリー&ヒズ・コメッツの「ロック・アラウンド・ザ・クロック」が使用されると8週連続全米1位という前代未聞の大ヒットとなり、世界的なロックンロール・ブームの幕開けとなった。1955年がロックンロール元年とされているのはこのためである。

歌の内容には深い意味もなく、他愛のないダンス・ミュージックではあるけれども、映画の暴力的なイメージ、そして白人のカントリー・ミュージックと黒人のリズム&ブルースを融合させるという、当時の感覚では非常識極まりない、人種の垣根を超えるという手法は、大人たちを震え上がらせ、批判されたが、若者たちは熱狂した。

彼らの音楽は、中身なんてなくてもスピード感と昂揚感があればいいし、黒人も白人も関係なく、カッコ良ければいいし、暴力的で下品でクレイジーであればあるほどいいという、あらゆる意味でロックンロールのすべてを包含して生まれた原典だと言っても過言ではないだろう。
新しい価値観が生まれ、世代間の断絶が際立ち、ロックンロールは若者たちの反抗を象徴する音楽となった。

しかし、ビル・ヘイリーがロックンロールの象徴だった時期は短く、すぐにエルヴィスにその座を取って代わられてしまった。それでも、ビル・ヘイリーが新しい世界の扉を開いたという功績は忘れられてはならない。わたしがこの、なんだかよそよそしくて冷たい、決して居心地が良いとは言えない世界で生きていくことになんとか耐えられてきたのも、ロックンロールがあったおかげだからだ。

以下はわたしがお薦めする、最初に聴くべきビル・ヘイリー&ヒズ・コメッツの至極の名曲5選です。

クレイジー・マン・クレイジー(1953)
Crazy Man, Crazy

ビル・ヘイリーとマーシャル・ライトル(コメッツのベーシスト)によって書かれた曲で、これこそが世界初のロックンロール・ナンバーと言われている。ちょうどこの曲ぐらいからビル・ヘイリーはバンドにサックスとドラムスを加えた。

この曲は彼らにとって初めてのヒット曲で、全米チャート12位、最終的に100万枚を売り上げた。

ロック・アラウンド・ザ・クロック(1954)
(We’re Gonna) Rock Around The Clock

言わずと知れた、ロックンロールという新しい音楽を世界に知らしめた、記念すべき大名曲。まさに世界を変えた1曲と呼ぶにふさわしい。

ビル・ヘイリーの名前とともに、作者のマックス・C・フリードマンとジェームズ・E・マイヤーズの名前も覚えておこう。なにしろ世界を変えてくれた大恩人なのだから。

シェイク・ラトル・アンド・ロール(1954)
Shake, Rattle And Roll

チャールズ・カルホーン作の名曲。ジョー・ターナーによる録音がオリジナルで、ビル・ヘイリーによるバージョンはその4か月後にリリースされた。

全米7位の大ヒットとなり、代表曲のひとつとして知られている。

シー・ユー・レイター・アリゲーター(1955)
See You Later, Alligator

オリジナルはボビー・チャールズで、チェス・レコードから発売されたが、その3か月後にビル・ヘイリーはビートをシャッフルからロックンロールへと微妙に変換してシングルリリースし、全米6位の大ヒットとなった。この微妙な変換が世界を変えるカギだったのだ。

なんだかチャーリー浜のギャグみたいな感じのタイトルだ。

リップ・イット・アップ(1956)
Rip It Up

ロバート・ブラックウェルとジョン・マラスカルコによって書かれた曲で、オリジナルはリトル・リチャードだ。同年にビル・ヘイリー&ヒズ・コメッツがカバーして、全米25位、そして全英4位のヒットとなった。

ビル・ヘイリーのバージョンはアレンジの完成度が高く、スピード感もあってカッコいい。

入門用にビル・ヘイリー&ヒズ・コメッツのアルバムを最初に聴くなら、彼らのデビュー・アルバム『ロック・アラウンド・ザ・クロック』がお薦め。当時のヒット曲が詰め込まれていて、ベスト盤と言っても過言ではない内容だ。

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