Radiohead
“In Rainbows” (2007)
これで、この【名盤500】にレディへを選ぶのは5枚目か。
オアシスは2枚しか選んでないことを思うとずいぶん多いな。
当時のわたしなら「どっち派?」と訊かれたら、迷わず「オアシス派!」と答えたものだった。今はもうそうじゃないんだと気づいたのは20年後の、このすっかり涼しい秋の夜だ。正直、オアシスにはいろいろ思い出も思い入れもあるのに比べて、レディヘにはまったくそれがないのに。不可思議なことである。
「モダン・ロック」なんて言葉が一番似合うのがレディオヘッドなんだろうなと、これを聴くとあらためて思う。
90年代ロックの「轟音の壁」を取っ払ってスッキリしたような、ストロークス以降の2000年代ロックのスカスカ・サウンドの波にレディオヘッドも乗っかったのではないかと睨んでいるけれども、そんな若者たちのバンドよりももっと新鮮に、先鋭的に聴こえるのがこの頃のレディオヘッドの凄さだったと思う。
わたしはリアルタイムで聴いたときは、正直ピンと来なかった。当時40歳のわたしの耳にはきっと新しすぎたのだろう。まだ当時は、オアシスぐらいが限界だったのだと思う。なんて言うとオアシスに失礼なのかな。
でも20年経って、最近はこのブログのために2000年代のロックもたくさん聴いて、わたしの遅れた耳もやっと追いついてきたのだろう。レディへの他のアルバムよりも心地よく、快く、楽しく聴けるほどだ。
本作はレディオヘッドの7枚目のアルバムとして、2007年の年末にCDがリリースされたが、それに2ヶ月ほど先駆け、10月10日にデジタル配信もされている。
【オリジナルCD収録曲】
1 15 ステップ
2 ボディスナッチャーズ
3 ヌード
4 ウィアード・フィッシズ/アルペッジ
5 オール・アイ・ニード
6 ファウスト・アープ
7 レコナー
8 ハウス・オブ・カーズ
9 ジグソー・フォーリング・イントゥ・プレイス
10 ヴィデオテープ
ガチャガチャした変拍子のビートはレディヘらしい親しみにくさ、居心地の悪い、人を寄せ付けないようなあのテイストを出してはいるものの、美しいストリングスや温かみのあるアコギ、そしてトム・ヨークのかつては絶望的で死にかけみたいだった声はやけに生き生きとして優美ですらある。アルバム全体には相変わらず不安げで寂しげな虚無感は漂っているものの、ちゃんと体温のある人肌の感じはしている。
本作のデジタル配信は画期的なもので、リスナーが自由に価格を決めてダウンロードできる、いわゆる「投げ銭」的な購入方法となっていた。
レコード会社との契約も切れていて、取次もCDショップも通さず、直接アーティストからリスナーへ作品を販売するという意味で、画期的な試みだった。
ただし、サーバーやメールの管理などもバンドメンバーと内輪の人間だけで行ったために繁忙を極め、「死ぬかと思った」とメンバーが語るほどの地獄を経験したとして、もう二度とやらないと宣言している。
ちなみに投げ銭で購入された平均価格は、約1,000円だったという。
アルバムは全米1位、全英1位の大ヒットとなった。
↓ アルバム屈指の美しさの名曲「レコナー」。
↓ ベースラインを強調した、幻想的なスロー・バラード「ヌード」。
(Goro)
