ラモーンズ『リーヴ・ホーム』(1977)【最強ロック名盤500】#233

⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

【最強ロック名盤500】#233
Ramones
“Leave Home” (1977)

ラモーンズの名盤というと1st『ラモーンズの激情』と3rd『ロケット・トゥ・ロシア』がよく挙げられるけれども、なぜこの2ndはスルーされるのかよくわからない。その2枚と比べてもなんら遜色はないのである。

全体に1stよりもスピード感もポップ感も増し、彼らの音楽性の根っこが60年代のサーフ・ミュージックやアメリカン・ポップス、そしてブリティッシュ・ビートなどにあることがよくわかる。

前作はプロデュース量なども含めて6千ドルしかなかった制作費が1万ドルに増えたこともあって、音がずいぶんクリアになった。

本作は1977年1月にリリースされた。

【オリジナルLP収録曲】

SIDE A

1 グラッド・トゥ・シー・ユー・ゴー
2 ギミ・ギミ・ショック・トリートメント
3 アイ・リメンバー・ユー
4 オー・オー・アイ・ラヴ・ハー・ソー
5 カーボナ・ノット・グルー
6 スージー・イズ・ア・ヘッドバンガー
7 ピンヘッド

SIDE B

1 アイ・ウォナ・ビー・ア・グッド・ボーイ
2 スワロウ・マイ・プライド
3 ホワッツ・ユア・ゲーム
4 カリフォルニア・サン(ザ・リヴィエラズのカバー)
5 コマンド
6 キル・ザット・ガール
7 ネヴァー・オープンド・ザット・ドアー

シングル・カットされたのはB2「スワロウ・マイ・プライド」だ。アメリカでのチャート入りは叶わなかったが、イギリスでは初めてのチャート・インとなる全英36位まで上昇した。

A2、A7、B4、B5など、後のライヴの定番となった代表曲も多く収録されている、ファンには重要なアルバムだ。前作のカバー「レッツ・ダンス」もカッコよくアレンジされていたけれども、本作のカバーB4「カリフォルニア・サン」もまたカッコいい。

しかしあらためて聴いてみても、その曲の良さに感心する。当時の英米のパンク・ロック・バンドの中では、最も「曲が書けるバンド」だったのだなとあらためて思う。

1stアルバムは全米アルバム・チャートの111位が最高位で、6千枚しか売れなかった。そして制作費を増額してもらったにも関わらず、2ndの本作はさらに悪く、全米チャート最高位は148位だった。

ジョーイ・ラモーンは、「ヒットするはずの曲がたくさんあると思っていた。60年代なら確実にヒットした曲がいくつもあるし、僕らの曲のユニークさにみんなが気づくだろうと思っていた。でも僕らの音楽には誰も触れたがらず、ラジオでも流れなかった。自分たちは異質の存在なんだと知った」となんとも哀しい想いを語っている。わたしも、いったいなぜこんなに素晴らしいロックンロールがあのアメリカで無視されたのか、理解できない。

普通ならクビにされてもおかしくない結果である。なのに彼らの所属するレーベル、サイアー・レコードは、すぐに3rdアルバムの制作に取り掛からせたのだ。しかも予算を3倍の3万ドルまで引き上げて。

その理由をサイアーは、「バンドを信じていたから」だと言う。

泣けるじゃないか。

現在でもラモーンズのアルバムが聴けるのは、サイアー・レコードの英断のおかげと言っても過言ではないだろう。縁もゆかりもないし、名前も知らないが、サイアー・レコードの当時の社長様には、心からの敬意と感謝を表したい。

↓ シングル・カットされ、全英36位とバンドとって初のチャート入りとなった「スワロウ・マイ・プライド」。

↓ 後にライヴの定番となった人気曲のひとつ「ギミ・ギミ・ショック・トリートメント」。

(Goro)

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