ジョン・フォガティは、1968年にC.C.R.のリーダーとしてデビューした。
作詞作曲とリード・ヴォーカル、リード・ギター、その他あらゆる楽器をこなし、ほぼ彼のワンマンバンドだった。
デビューすると、わずか3年のあいだに6枚のアルバムを発表し、シングル・ヒットを連発した。
しかし最期は、その彼のワンマンぶりが気に食わなかったメンバーたちが謀反を起こし、それぞれの曲を持ち寄って自分で歌うという「民主的な」レコードを出すことになるが、当たり前だが全然売れず、評価も芳しくなく、解散の運びとなった。このとき、1972年に生まれた教訓は憶えておく価値があると思う。
「芸術に民主主義は要らない」。
C.C.R.の音楽は、カントリーの土壌から生まれたロックを浸透させ、それはそのままサザン・ロックの源流にもなった。
これまでに1億枚以上のレコードを売ったヒットメイカーは、しかし決して順風満帆な音楽人生ではなかった。
所属レコード会社の社長から契約と著作権で不当な訴訟を起こされ、1975年からなんと10年間も彼は過去の歌を歌うことも新しい歌を発表することもできないという牢獄のような生活を強いられた時期もあったのだ。
現在75歳の彼は、今もネルシャツを着て、パンデミックの最中でも自宅で家族と演奏し、動画を公開している。現在も信じられないほど若々しい声で歌っているのが驚異的だ。それらの動画が軒並み100万再生回数を超えているのが今も衰えない人気の証だろう。
アメリカを愛し、アメリカに愛された男だ。
以下は、わたしが愛するジョン・フォガティのソロ時代の、至極の名曲ベストテンです。
Don’t You Wish It Was True
全米14位と好成績を収めた7枚目のソロ・アルバム『リヴァイヴァル(Revival)』のオープニング・トラック。C.C.R.時代から変わらないフォガティ節が嬉しい。
Gunslinger
これも『リヴァイヴァル(Revival)』からのシングル。その年の米Rolling Stone誌の年間Best Songの12位にも選出された佳曲。
Mr.Greed
10年の活動休止期間を経て発表された、それまでの鬱憤を晴らすかのような名盤『センタ―フィールド(Centerfield)』収録曲。
ジョン・フォガティに対して訴訟を仕掛け、10年もの活動休止に追い込んだファンタジー・レコード社長ソウル・ゼインツを「ミスター強欲」と呼び、激烈に罵倒した歌。
怒り心頭の感情が爆発したようなハードなロックンロールがくそカッコいい。
I Saw It On T.V.
ソロ3rd『センタ―フィールド』収録曲。10年ぶりに音楽活動を再開した時に、最初に書いた曲ということだ。
JFKの暗殺やビートルズの登場、月面着陸、ベトナム戦争など、過去の出来事を思い出しながら、時代の変化や自身の心境を綴った、ノスタルジックなメロディーの曲。地味だけど好きなタイプの歌だ。
Rockin’ All Over the World
2ndソロ・アルバム『ジョン・フォガティ(John Fogerty)』のオープニング・トラック。
血管がブチ切れないかと心配になるほどシャウトしっぱなしの、超ハイテンションのロックンロールだ。
Sugar-Sugar (In My Life)
2004年のアルバム『デジャ・ヴ(Deja Vu All Over Again)』収録曲。
「人生には砂糖が必要」と歌う曲だ。しょっぱくて苦い人生を味わってきたからかな。弾力のあるビートもいい。
The Old Man Down the Road
『センタ―フィールド(Centerfield)』からのシングルで、全米10位のヒットとなった。
手で触ってみたくなるような立体感のあるギターの音がたまらない。
ちょっと変わったPVの演出も面白い。
Almost Saturday Night
2nd『ジョン・フォガティ』からのシングルで、デイヴ・エドモンズ、ジョージア・サテライツ、リック・ネルソンなど多くのアーティストがカバーした、ソロ初期の代表曲。
Deja Vu (All Over Again)
「またしても戦争を繰り返している、まるでデ・ジャ・ヴのようだ」と歌う、静かだけど強く熱い想いが伝わってくる名曲だ。
Centerfield
「監督! おれを試合に出してくれ! 準備は出来てるぜ! センターフィールドを制するのはこのおれだ!」と歌う野球の歌詞に、10年ぶりに音楽シーンに戻って来られて嬉しい気持ちとその中心に返り咲くことを宣言したダブル・ミーニングの曲。
その宣言通り、アルバムは全米1位となってジョン・フォガティの帰還を祝福した。
以上、【名曲ベストテン】 Greatest 10 Songsでした。
(by goro)