90年代メロコア・ブームの先駆 〜グリーン・デイ『ドゥーキー』(1994)【最強ロック名盤500】#41

ドゥーキー

⭐️⭐️⭐️⭐️

【最強ロック名盤500】#41
Green Day
“Dookie” (1994)

おっ。

ガキが出てきたな。

と思ったのだった。

そのとき、わたしは27歳だった。

グリーン・デイの3人は22歳だった。

ストーン・ローゼスから始まり、ピクシーズ、ダイナソーJr、ニルヴァーナ、スマパン、オアシス、ブラー、レディオヘッド、マニックスあたりの世代が、わたしの年齢のプラス・マイナス3歳ぐらいの世代だ。

つまり、90年代前半のロックシーンで活躍していた連中の多くをわたしは同世代と感じていたのだけれども、このグリーン・デイがいきなりブレイクした時には、急に年下のやつが出てきたなあ、というのが当時のわたしの印象だった。

5歳離れるとさすがに「同世代」という感じはしなくなる。

わたしにとって史上初の、「年下ロック」の登場だった。

しかし年下とはいえグリーン・デイの音楽は、それほど新しいものではなく、むしろわたしがよーく知っている、セックス・ピストルズやクラッシュ、ラモーンズなどの70年代パンクのスタイルを手本にしているのは明らかだった。

同世代ではないが、なんとなく「弟の同級生」みたいな感じで、かわいい奴らだなとわたしは思った。

「年下ロック」を聴くことは、それまで物心ついて以来聴いてきた、年上ロックや同世代ロックを聴くのとはなんだかずいぶん違う感覚だった。

年上のアーティストならリスペクトしながら熱くなれるし、同世代なら共感とリアリティを感じながら熱くなれるが、「年下のロック」に対してはどこか「温かい眼差しで」聴くことはできても、決してかつてのような熱い気持ちにはなれないような気がしたのだ。

年が離れていけばいくほど、彼らの世界観に共鳴しにくくなり、リアリティを感じにくくなり、その音楽がピンとこなくなるのだろう。そんなふうに人は、30歳に近づいた頃にはリアルタイムの音楽から離れていくのかもしれない。

6歳差のグリーン・デイはそれでもまだギリギリ楽しめた。

「なんだ、今どきパンクの真似ごとかよ」などと、ついつい先輩ヅラして辛口になってしまうわれわれ世代も、そうは言いながらもその曲の良さとイキの良さに思わず頬が緩んでしまったものだ。そのシンプルでキャッチーな楽曲と、若さあふれる前のめりの演奏はやはり魅力的だ。

本作はメジャー・デビューとなった、グリーン・デイの通算3作目で、1994年2月にリリースされた。

【オリジナルCD収録曲】

1 バーンアウト
2 ハヴィング・ア・ブラスト
3 チャンプ
4 ロングヴュー
5 ウェルカム・トゥ・パラダイス
6 プリング・ティース
7 バスケット・ケース
8 SHE
9 ササフラス・ルーツ
10 ホウェン・アイ・カム・アラウンド
11 カミング・クリーン
12 エムニアス・スリーパス
13 イン・ジ・エンド
14 F.O.D.

ドラムの合図でいきなり歌い出すオープニング・トラックの「バーンアウト」を聴いだけでわたしはこのバンドが好きになった。疾走感と潔さが最高だ。

続く「ハヴィング・ア・ブラスト」も一緒に口づさみたくなるし、シングルヒットした「ロングヴュー」「ウェルカム・トゥ・パラダイス」と楽しい曲が続く。

そして米オルタナチャートで5週連続1位の大ヒットとなった「バスケットケース」はわたしも彼らの曲の中で最も好きな曲だ。90年代を代表する1曲に数えていいだろう。

アルバムは全米2位という大ヒットになり、1,500万枚を売り上げた。ロック史上、最も売れたパンク・ロック・アルバムだ。

このグリーン・デイの爆発的なブレイクによって、「メロコア」または「ポップ・パンク」と呼ばれるジャンルが台頭し、米西海岸を中心に続々と雨後の筍のように「年下ロック」が出てきたが、わたしが好きになれたのは結局、このグリーン・デイだけだったな。

↓ アルバムの冒頭を飾る「バーンアウト」。前のめりの疾走感とポップなメロディ、シンプルを極めた潔さがたまらない。

Green Day – Burnout [Visualizer]

↓ 米オルタナチャートで5週連続1位の大ヒットとなった代表曲「バスケットケース」。

Green Day – Basket Case [Official Music Video] (4K Upgrade)

(Goro)

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