スマパン・グルーヴの原点 〜スマッシング・パンプキンズ『ギッシュ』(1991)【最強ロック名盤500】#26

Gish - Wikipedia
⭐️⭐️⭐️⭐️

【最強ロック名盤500】#26
Smashing Pumpkins
“Gish” (1991)

スマッシング・パンプキンズの世間一般の評価で、どうも納得いかないことがある。

それはこの1stアルバムの評価の低さだ。全米146位と、セールス的には失敗したせいもあるのかもしれないが、全米1位のメロンコリーがやたらともてはやされ、中には「1979」だけの一発屋だと思ってるやつまでいる始末だ。許せん。

などと興奮する必要もないのだが、わたしにとってはこの1stのインパクトは、それはもう大変な衝撃だったのである。

本作は1991年の5月にリリースされた、スマッシング・パンプキンズの1stアルバムである。

当時このアルバムを聴いたとき「おおっ!90年代のレッド・ツェッペリン!」などと興奮したことを思い出す。

いやレッド・ツェッペリンなんて当時のわたしはまだ5曲ぐらいしか知らなかったのだけれど、まあとにかくそう思ったのである。

レッド・ツェッペリンはなんだかちょっと晦渋だけれど、グルーヴ感がいいな、などととわたしは思っていて、でもコシがありすぎてやや固めなので、もうちょっと湯に浸けたほうがいいのではないか、という印象なのだった。

スマッシング・パンプキンズもグルーヴ感がよくてやや固め、でもなんとなくユーモアも軽さもあって、そんなに晦渋な感じはしない。ダーシーがいるおかげで見た目に華があるせいかもしれない。

当時のシーンは素人感丸出しの学生サークルみたいなバンドたちが幅をきかせていて、それはそれで面白かったのだったけど、スマパンは中途採用でいきなり主任、みたいなちょっとだけ大人のバンドみたいで、きっちり仕事ができる感じだった。

そしてフロントマンのビリー・コーガンは音楽以外にはあまり興味がなさそうで、気難しくて神経質でストイックでちょっとだけ狂った坊さんのような男である。

余談になるが、ビリーはスマパン解散後に「ズワン」というバンドを結成したものの、アルバムを1枚出しただけですぐに解散した。ツアー中にメンバーが酒やら女やらで遊ぶのが気に食わなかっという理由らしい。ビリーは彼らのことを「ペテン師野郎共」と罵倒した。わたしはこういう男に好感を持つ。

【オリジナルCD収録曲】

1 アイ・アム・ワン
2 シヴァ
3 ライノセラス
4 ベリー・ミー
5 クラッシュ
6 サファー
7 スネイル
8 トリステッサ
9 ウインドゥ・ペイン
10 デイドリーム

若い情熱を迸らせた本作は、ヘヴィなリフと16ビートの一辺倒が、のちの作品に比べると評判が良くないらしいが、わたしは逆にそれが良かったのである。スマパンはやっぱりこのスマパン・グルーヴが原点なのだ。それ以外のスローテンポの曲はどこかゴスの香りが漂うが、きっとそういうのもビリーの趣味なのだろう。ラストのダーシーのヴォーカル曲もいい。

本作のプロデューサーは、あのブッチ・ヴィグである。

そして、同じくブッチ・ヴィグのプロデュースによるニルヴァーナの『ネヴァーマインド』がこの4ヶ月後に発売されてあの大騒ぎになったことで、スマパンはちょっと影が薄くなった感があった。えらく損をしたものだと思う。

もしスマパンをこれから初めて聴くという人がいたら、わたしはまずはこの1stから聴くことをお薦めしたい。その衝撃度を味わって欲しいということもあるし、順を追って聴いてみると、彼らのわずか数年の、とてつもない成長過程を楽しむこともできるのだ。

↓ シングル・カットされた「シヴァ」。静と動のコントラストによる緊張感と16ビートのスマパン・グルーヴによる代表曲。

↓ こちらもスマパン・グルーヴの「ベリー・ミー」。本作の中ではわたしはこれが一番好きだ。

(Goro)

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