ジェファーソン・エアプレイン『シュールリアリスティック・ピロー』(1967)【わたしが選ぶ!最強ロック名盤500】#108

SURREALISTIC PILLOW

⭐️⭐️⭐️

【最強ロック名盤500】#108
Jefferson Airplane
“Surrealistic Pillow” (1967)

1967年のサンフランシスコは、サイケデリック・ロック、ドラッグ、フリーセックス、反戦・平和思想、共同生活などなど、ヒッピー文化の聖地となり、各地から10万を超す若者たちが集まった。その社会現象は、〈サマー・オブ・ラブ〉と呼ばれた。

その当時のサンフランシスコのサイケデリック・ロック・シーンの代表的なグループであり、サマー・オブ・ラヴのシンボル的存在が、グレイトフル・デッドやこのジェファーソン・エアプレインだった。

最初はフォーク・ロックのグループとしてデビューしたが、女性ヴォーカルのグレイス・スリックが加入し、1967年2月にリリースした2ndアルバム『シュールリアリスティック・ピロー』が全米3位の大ヒットとなり、大ブレイクを果たした。

当時27歳だったグレイス・スリックは、ロック史に初めて登場することになった女性ロックスターだ。パワフルで個性的なヴォーカル、元モデルの美貌、ピアノや作曲もこなした才能は、カリスマ的ですらあった。ジェファーソン・エアプレインが大化けしたのはほぼ彼女のおかげであることは間違いない。

【オリジナルLP収録曲】

SIDE A

1 おかしな車
2 あなただけを(全米5位、全英5位)
3 マイ・ベスト・フレンド
4 トゥデイ
5 帰っておくれ

SIDE B

1 恋して行こう
2 D.C.B.A.-25
3 素敵なあの娘
4 旅する前に
5 ホワイト・ラビット(全米8位、全英6位)
6 プラスティック・ファンタスティック・ラヴァー

サイケデリックな演出でお馴染みのカラフルなリキッド・ライトをステージの照明に使うなど、サイケデリック・ロックのイメージが強い彼らだが、音楽性は幅広く、ジャズ風のビートに始まり、フォーク・ロックやソウル、ブルース・ロックやカントリー・ロックなど様々な要素が入り乱れる、まさしくシュールなアルバムである。

最も有名なヒット曲のA2「あなただけを」は彼らの代表曲だ。歪んだギターと力強いポップなメロディの、本作中最もストレートなロック・ナンバーだ。

もうひとつの代表曲であるB5「ホワイト・ラビット」はグレイス・スリックが書いた曲だ。
ボレロ風のビートで幻想的な、当時のサイケデリック・ロックを象徴した独創的な名曲である。

ただ、この2曲の代表曲はともにグレイス・リックがもともと在籍していたバンド、グレイト・ソサエティのレパートリーを持ち込んだ「連れ子」みたいなものであり、以降はヒット曲が生まれなかったのは、このバンドの限界だったのかもしれない。

メンバーの音楽の指向性が、R&B、カントリー、ブルース、ジャズなどバラバラであることは当初こそ幅広い音楽性という武器になったが、やはり長くは続かず、70年代に入ると脱退が相次ぎ、1973年に解散する。

その後はメンバーの一部でジェファーソン・スターシップを結成したり、そのまた分裂や脱退でスターシップになったり、スターシップ・ジェファーソンになったりといろいろ変遷しながらそれなりに成功もしたようだが、わたしはもうまったく知らない世界である。

↓ 全米5位の大ヒットとなった代表曲「あなただけを」。

Somebody to Love

↓ グレイス・スリックによる独創的なサイケデリック・ナンバー「ホワイト・ラビット」。

Jefferson Airplane -White Rabbit-

(Goro)

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