〈60年代ロック【必聴名盤10選】’60s Rock Greatest 10 Albums〉は、2年前の2022年10月に公開した記事ですが、この半年というもの【最強ロック名盤500】のために1960年代の名盤をあらかた聴きまくったので、以前とは印象が変わったものもあり、今回選び直して一部を入れ替え、改訂版として再掲します。
60年代は”ロックンロール”が”ロック”へと進化し、カウンター・カルチャーとして若者たちの支持を得ながら、新たなアートとしても急成長を遂げた時代だった。
ブリティッシュ・ビートが世界中で鳴り響き、アメリカではフォーク・ロックが誕生し、「コンセプト・アルバム」という概念が生まれ、ドラッグ・カルチャーはサイケデリック・ロックを生み、革命的なギター奏法はハード・ロックの礎となった。
ロック入門編として、これからクラシック・ロックを聴いてみようという奇特な若者たちの参考にでもなれば幸いです。
(※以下、リリース順)
『ミスター・タンブリン・マン』(1965)
The Byrds “Mr. Tambourine Man”
ザ・バーズの1stアルバムで、“フォーク・ロック”という新たなサウンドを創造した歴史的名盤。
ボブ・ディランの原曲を借りてではあるが、ロック・サウンドとシリアスな歌詞を融合させ、アートとしてのロックのステージを一段階も二段階も上げたことでも歴史的な意義が大きい作品だ。
『マイ・ジェネレーション』(1965)
The Who “My Generation”
ザ・フーの1stアルバム。
永遠のロック・アンセム「マイ・ジェネレーション」や、名曲「キッズ・アー・オールライト」を含む、ストリートの感性を持った英国の新しい世代「恐るべき子供たち」の底知れないエネルギーを見せつけるようなアルバムだ。すべてのパンク・ロックの源流がここにある。
『ペット・サウンズ』(1966)
The Beach Boys “Pet Sounds”
「天才と狂気は紙一重」を地で行くブライアン・ウィルソンによって創造された史上初のコンセプト・アルバム。
それまでのロックにはなかった異様かつ高度な芸術性を獲得し、本作に影響を受けたビートルズやキンクスなど英国のバンドたちも続々とコンセプト・アルバムの傑作を発表し、ロックはより複雑化・アート化していくことになる。
『ブロンド・オン・ブロンド』(1966)
Bob Dylan “Blonde on Blonde”
ボブ・ディランの7作目、ロック史上初の2枚組アルバムとなった本作は、カントリー・ミュージックの聖地ナッシュヴィルで録音された。ロックとカントリーという、反体制と保守ぐらい反目し合っていたものを融合させた、その意味でも歴史的意義の大きい作品だ。
アルバムタイトルはそのナッシュヴィル・サウンドを「音が黄金のように輝いている」とディランが絶賛したことから付けられた。
『ハートに火をつけて』(1967)
The Doors “The Doors”
ダークな世界観と文学的な歌詞でその名の通りロック・シーンに新たな扉を開いた、ザ・ドアーズの1stアルバム。
何にも似ていないオリジナリティと、デビュー作でいきなりこの完成度は、どちらも驚嘆するほかない。新しい時代のロックスター像を創造したジム・モリソンの存在感も大きかった。
『ヴェルヴェット・アンダーグラウンド&ニコ』(1967)
The Velvet Underground “The Velvet Underground and Nico”
内容の物凄さもさることながら、ロック界に「オルタナティヴ・ロック」という地下フロアを出現させたという意味でも、ロック史における最重要アルバムと言える。
もしロックに地下フロアがなかったら、わたしはロックなんてすぐ飽きちゃったんじゃないかと思うのだ。
『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』(1967)
The Beatles “Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band”
1960年代はまさにビートルズの時代だった。ロックシーンは常に彼らの影響の下にあり、すべてのロックバンドは、ビートルズを手本にするか、ビートルズに反発するかの2択しかなかった。本作はそのビートルズの最高到達点と言えるだろう。
英国アルバムチャートで23週連続1位、米国でも16週連続1位となり、現在までに全世界で3,200万枚以上を売り上げた、ビートルズの代表作である。
『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』の記事はこちら
『ベガーズ・バンケット』(1968)
The Rolling Stones “Beggars Banquet”
アメリカのブルースやR&Bのカバーからスタートし、ビートルズと並んでブリティッシュ・ビート・バンドの代表格として人気も博したストーンズがついにたどり着いた孤高の境地。
アメリカ南部の土の匂いを濃厚に感じさせる、ルーツ・ミュージックに回帰した歴史的傑作だ。本作に至るまでの迷走ぶりからしても、ストーンズはたぶんこのアルバムがなければ終わっていたと思う。
『ニール・ヤング・ウィズ・クレイジー・ホース』(1969)
Neil Young with Crazy Horse “Everybody Knows This Is Nowhere”
ジム・メッシーナから譲り受けたオールド・ブラック(黒のレスポール)と、クレイジー・ホースという、どちらもその後50年以上に及ぶ付き合いとなる相棒と仲間たちに出会い、豪快に歪んだヘタウマギターとキャッチーな歌メロの組み合わせというニール・ヤングの登録商標のようなあのサウンドが生まれた2ndアルバム。90年代には元祖グランジ・ロックとして再評価もされた。
『ニール・ヤング・ウィズ・クレイジー・ホース』の記事はこちら
『クリムゾン・キングの宮殿』(1969)
King Crimson “In The Court of The Crimson King”
とにかくジャケットのインパクトが強烈だが、本作の何が凄いって、ジャケットのせいで上がりに上がっているはずのハードルを、オープニングの「21世紀の精神異常者」から、予想以上の強烈さで超えてくるのである。
他も名曲揃いで、内容がまったくジャケ負けしていないことに驚かされるのだ。
以上、1960年代ロックの【必聴究極名盤10選】でした。
(Goro)