ザ・ローリング・ストーンズ『アウト・オブ・アワ・ヘッズ』(1965)【最強ロック名盤500】#96

アウト・オブ・アワ・ヘッズ(UKヴァージョン)

⭐️⭐️⭐️⭐️

【最強ロック名盤500】#96
The Rolling Stones
“Out Of Our Heads” (1965)

1965年9月にリリースされた『アウト・オブ・アワ・ヘッズ』は、ザ・ローリング・ストーンズの英国3枚目のアルバムだ。

初期のストーンズのアルバムはビートルズと同様に、英国盤と米国盤の内容が大きく違う。
当時のイギリスでは、先にシングルリリースした曲はアルバムに収録しない慣習があり、逆にアメリカではシングル曲を積極的にアルバムにも収録したいという方針の違いがあったためだ。米国盤では半分の曲が差し替えられ、ジャケットも違う。どっちもジャケットはカッコいいけれども。

Out Of Our Heads [12 inch Analog]
↑ 米国盤のジャケット。

ここで選んだのは、英国盤のほうである。わたしはこのブログでは、初期のストーンズを聴くなら英国盤でと常々お薦めしている。

ストーンズの場合、日本では昔からなぜか米国盤のほうが流通している印象で、理由はたぶん米国盤には「サティスファクション」「ラスト・タイム」というこの時期の重要なシングル曲が収録されているからだろう。

でも、そんなヒット曲は山のように出ているベスト盤にもうイヤというほど入っているので、そっちで聴いたらいいのだ。

この時期のストーンズの攻撃型激シブR&Bを存分に楽しむにはやはりオリジナルの英国盤の方がいい。よりディープな味わいである。

全12曲中8曲がカバー、4曲がオリジナルという構成だ。カッコ内はカバー元のパフォーマーである。

【オリジナルLP収録曲】

SIDE A

  1. シー・セッド・イェー(ラリー・ウィリアムズ)
  2. マーシー・マーシー(ドン・コヴェイ&ザ・グッドタイマーズ)
  3. ヒッチ・ハイク(マーヴィン・ゲイ)
  4. ザッツ・ハウ・ストロング・マイ・ラヴ・イズ(オーティス・レディング)
  5. グッド・タイムズ(サム・クック)
  6. ガッタ・ゲット・アウェイ

SIDE B

  1. トーキン・バウト・ユー(チャック・ベリー)
  2. クライ・トゥ・ミー(ソロモン・バーク)
  3. オー・ベイビー(バーバラ・リン)
  4. ハート・オブ・ストーン
  5. ウエスト・コーストの宣伝屋
  6. アイム・フリー

前2作に比して、カバーとオリジナルの割合は大きく変わっていないものの、クオリティや表現の豊かさ、音楽的な新しさなどは大きく成長した印象だ。

オリジナル曲のA6「ガッタ・ゲット・アウェイ」、B6「アイム・フリー」はどちらもポップなメロディが耳に残って好印象だし、B4「ハート・オブ・ストーン」はジャガー/リチャーズによって書かれた最初の名バラードであり、サザン・ソウルのテイストも感じる。

オーティス・レディングのカバー「ザッツ・ハウ・ストロング・マイ・ラヴ・イズ」やサム・クックの「グッド・タイムス」のカバーも収録されているように、この時期のストーンズにはサザン・ソウルへの傾倒がみられる。「ザッツ・ハウ…」でのミックは、歌い方までオーティスの影響を強く受けた名唱だ。

カバーでは最初の2曲「シー・セッド・イェー」「マーシー・マーシー」も最高だ。
ひしゃげたようなサウンドと、ストーンズらしいスピード感、そしてバンドが一体となって悪さを楽しんでるようなグルーヴがカッコいい。

「トーキン・バウト・ユー」で聴かせるストーンズお得意の耳に突き刺さってくるような野蛮なギターソロもいい。これはブライアンかな。

そのあたりを聴けばわかるように、ただ上手いだけの英国製R&Bバンドや、ションベンくさいアイドルバンドとは一味も二味も違うところだ。

↓ アルバムの冒頭を飾る「シー・セッド・イェー」。

She Said Yeah (Remastered 2002)

↓ ジャガー/リチャーズによる最初の名バラード「ハート・オブ・ストーン」。

Heart Of Stone (Mono)

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