James Brown
“Papa’s Got a Brand New Bag -Part 1” (1965)
1956年にR&BシンガーとしてデビューしたJBは、そのデビュー・シングル「プリーズ・プリーズ・プリーズ」がR&Bチャート6位の好発進となり、58年には「トライ・ミー」でR&Bチャート1位の大ヒットとなるが、それ以降7年ものあいだ1位を獲得することはなく、あまりパッとしない状況だったらしい。
しかし60年代半ば、後に「ファンク」と呼ばれることになる新たなスタイルの曲を書くようになってからJBの快進撃が始まる。
「ファンク」とは16ビートの、うねる強めのベースとキレキレのカッティングギターとホーンが一体となって短いフレーズを延々と繰り返す、野蛮かつスタイリッシュなダンスミュージックだ。むしろヴォーカルのほうが脇役みたいで、印象としてはほとんどインストゥルメンタルに近かったりする。
この曲はそのファンク試行錯誤期のシングルで、R&Bチャート1位、そして全米8位を記録する、デビュー以来最大のヒットとなった。
JB自身が書いた曲で、「パパのニュー・バッグ」とは、パパの新しいダンス、みたいな意味らしい。
彼のバンド、ザ・フェイマス・フレイムスは、小節の頭のビートを強く打つキレのいいリズムのリフを繰り返す。この当時のJBは、理想のグルーヴと新しいビートを仕上げるためにとにかくバンド練習を鬼のように繰り返したという。その成果がこのキレッキレのタイトな演奏なのだろう。
ちょっと中毒になるような、実にカッコいい曲だ。なんとも斬新な響きとグルーヴで、わたしには今でも新鮮さを失っていないように聴こえる。
わたしはJBではこの曲がいちばん好きなのだ。
(Goro)