ジェームス・ブラウン/セックス・マシーン (1970)【’70s Funk Masterpiece】

【70年代ファンクの名曲】
James Brown
Get Up I Feel Like Being a Sex Machine (1970)

なんて野蛮で下品な歌だろうと思ったものだ。

リアル・セックス・マシーンが明け透けにセックスを連呼しながら腰を振って歌うのだからもうほとんど犯罪みたいなもので、子供たちには聴かせられないし、お嬢さんたちは一刻も早く逃げ出したほうがいいだろう。

実際は歌詞なんてものはほとんどなく、「踊り続けろ、そうだ、腰を振って、踊って、踊って、踊りまくれ、セックス・マシーンのように」という、ダンスを煽る掛け声をずっと叫んでるだけにすぎない。

それにしてもこんなクソ恥ずかしい歌を堂々と歌えるのは、この”ファンキー・プレジデント”、ジェームス・ブラウン閣下ぐらいのものだ。

1965年に発表した「ナイト・トレイン」や「パパのニュー・バッグ」あたりから彼が創りあげてきた《ファンク》という音楽がとうとう完成した頃だ。
まさに音楽のボディビル、肉体の、肉体による、肉体のための究極のダンスミュージックだ。

そしてこの曲はジェームス・ブラウンが新たに結成したバンド、JB’sが最初に録音した曲となった。うねるベースを中心にした引き締まったバンドサウンドは、そんな下品な歌であることを忘れさせてしまうほどにどこまでもクールだ。

ここでは管楽器よりもキレのあるギターとベースの方が前面に出ている。このギターがキャットフィッシュ・コリンズ、そしてベースがブーツィー・コリンズという最強コリンズ兄弟である。このバンドの登場によって新たなファンクの歴史が始まったと言っても過言ではないかもしれない。

さらにその後のディスコブームにもつながっていくわけで、この曲もまた70年代の幕開けにふさわしい、新時代を拓いた曲だったと言えるだろう。

(Goro)

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