The Rolling Stones
She’s a Rainbow (1967)
1967年でローリング・ストーンズは終わりを迎えてもおかしくなかった。
この年の5月にミック、キース、ブライアンが相次いで麻薬の容疑で逮捕され、有罪判決が出た。ブライアンは罰金刑で済んだが、ミックとキースは投獄された後、翌日に保釈された。
音楽面でも、ブリティッシュ・ビート・バンドたちが猛スピードで進化を遂げ、サイケデリックだの、コンセプト・アルバムだのと新たな展開を見せていく中、それまでビートルズと先頭争いをしていたはずのストーンズが、ここへ来て遅れをとっていた。
1967年の『サタニック・マジェスティーズ』は迷走したストーンズの失敗作と名高い、彼ららしくもないサイケデリック風のコンセプト・アルバムだった。そもそもブルースという、リアリズムの音楽をやって来た彼らに、ファンタジーのコンセプトが似合うはずもなかったのだ。
この頃のストーンズについてキース・リチャーズは次のように語っている。
俺たちはガス欠に陥っていた。ストーンズはいつ沈没してもおかしくないくらいの状態だった。(中略)
誰も曲なんか作りたくなかったんだが、アルバムを出さなくちゃならない時期だったし、ビートルズが『サージェント・ペパーズ』を出していたから、まあ要するに、うわべだけ取り繕おうと考えたってのが正直なところだ。俺に言わせりゃ、あのアルバムはまやかしだった。
(『ライフ』キース・リチャーズ著 棚橋志行訳)
しかし、そんなうわべだけのまやかしアルバムにも、美しい曲が収められている。この「シーズ・ア・レインボウ」がそうだ。
印象的なピアノのリフレインのせいか、日本でも何度かCMに使用されている。
なんのCMだったかまでは、残念ながら思い出せないけれども。
『サタニック・マジェスティーズ』の当時の評価は惨憺たるもので、ストーンズの迷走はここに極まったかと思われたが、しかしそこに彼らを救う救世主が現れる。ミックとキースより1つだけ年上の、当時26歳のアメリカ人プロデューサー、ジミー・ミラーである。
翌年、彼の指揮のもとでストーンズは起死回生の復活を果たし、ストーンズの黄金時代へと突入していった。
(Goro)