帰ってきた救世主 〜レッド・ホット・チリ・ペッパーズ『カリフォルニケイション』(1999)【わたしが選ぶ!ロック名盤500】#378

CALIFORNICATION [12 inch Analog]

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【わたしが選ぶ!ロック名盤500】#378
Red Hot Chili Peppers
“Californication” (1999)

前作以来4年ぶりとなる本作は、ギタリスト、ジョン・フルシアンテの8年ぶりの復帰作でもあった。

フルシアンテは1992年の日本ツアー中にバンドを離脱、最後のライヴは名古屋だったが、たまたまわたしはそこに居た。それほど近くで見ていたわけではなかったので特になにも異常には気づかなかったけど、そのときフルシアンテはヘロインと鬱病で心身ともボロボロの状態だったらしい。

フルシアンテ不在の7年間にレッチリはたった1枚しかアルバムを出していないし、シングル・ヒットもなかった。そしてフルシアンテの代わりに加入したデイヴ・ナヴァロともうまくいかず、バンドは崩壊寸前だった。

しかしフルシアンテがクリーンになり、奇跡的な復帰を果たしたおかげで、バンドは崩壊から救われることになったのだ。

名盤『ブラッド・シュガー・セックス・マジック』以来の4人による7thアルバム『カリフォルニケイション』は1999年6月にリリースされた。

【オリジナルCD収録曲】

1 アラウンド・ザ・ワールド
2 パラレル・ユニヴァース
3 スカー・ティッシュ
4 アザーサイド
5 ゲット・オン・トップ
6 カリフォルニケイション
7 イージリー
8 ポースリン
9 イミット・レマス
10 アイ・ライク・ダート
11 ディス・ヴェルヴェット・グローヴ
12 セイヴィアー
13 パープル・ステイン
14 ライト・オン・タイム
15 ロード・トリッピン

アルバムはファンクやヘヴィ・ロックの要素が以前より薄まり、あの威勢の良さや奔放さがずいぶん抑えられている。

かわりにオルタナティヴ・ロックの要素が濃くなり、内省的で叙情的な要素を持つ楽曲が増えている。これはジョン・フルシアンテが方向性を牽引したことによるものだろう。フルシアンテはインタビューで「自分が本当に好きな音楽に立ち返ろうとした」と語っている。

この音楽性の変化は彼らに音楽的な成熟をもたらし、より広いリスナーから支持され、キャリアのターニング・ポイントとなった。

アルバムは全米3位、全英5位、日本のオリコンでも総合7位と世界的ヒットとなり、過去最高の1,500万枚を売り上げた。

レッチリのディスコグラフィを見ると一目瞭然なのだが、傑作アルバムが生まれている時期はほぼフルシアンテが在籍した時期と一致している。

1989年に彼が加入したことでレッチリは、それまでのマッチョなファンク・ロックにとどまらない、繊細でメロディアスで独創的なミクスチャー・ロックのバンドへと変貌し、世界的な成功を収めた。

わたしも、レッチリのギターはやっぱりフルシアンテがいい。というより、フルシアンテのギターに魅かれてレッチリを聴くようになったようなものだった。

本作でも「スカー・ティッシュ」や「カリフォルニケイション」などで彼らしいプレイ、傷だらけで打ちひしがれたようでもあり、純朴な情熱の煌めきを感じるようでもある、素晴らしいギターを聴かせてくれる。

↓ アルバムのタイトル曲となった「カリフォルニケイション」は、彼らの故郷であり、ハリウッド映画産業に象徴される巨大資本主義の象徴の地であるカリフォルニアを、すべての夢と欲望を叶える約束の地であるかのような幻想を皮肉っぽく歌っている。

↓ 全米9位の大ヒットとなった「スカー・ティッシュ」。全米シングルチャートのトップ10入りを果たしたのは、「アンダー・ザ・ブリッジ」以来8年ぶりのことだった。グラミー賞で「最優秀ロック・ソング賞」を受賞。

(Goro)