ザ・スミス/ゼア・イズ・ア・ライト (1986)

The Smiths「There Is A Light That Never Goes Out」をTwin Shadowがカバー、その音源が公開 (2014/02/14) 宮嵜広司の「明るい洋楽」 |音楽情報サイトrockinon.com(ロッキング・オン ドットコム)

【80年代ロックの名曲】
The Smiths

There Is a Light That Never Goes Out (1986)

1986年に発表されたザ・スミスの3rdアルバム、『クイーン・イズ・デッド』収録曲。

アルバムは、スミス絶頂期の最高傑作だ。この曲はそんな大名盤の後半に収められた、クライマックスとも言える。

耳に残って離れないメロディ、ストリングスのせつなく美しいアレンジ、そして忘れられない映画のワンシーンのように、魂を揺さぶり、心に刻みつけられる歌詞。

いつ聴いても、喉の奥からなにか固いものが込み上げてきて、涙腺をちょいちょいと刺激する。

主人公(男性でも女性でもどちらでもいい)は、家には居場所がなく、たぶん社会のどこにも居場所がない。

たぶん恋人ではないけれど、唯一の心を許せる相手に、「車で連れて行ってほしい。ネオンが輝いて、若者たちがいる楽しそうなところへ」と頼む。自分には帰る場所はないから、と。

そしてサビは、こんな歌詞だ。

もしも2階建てバスが僕らの車に突っ込んできても
きみの傍で死ねるんだから、最高に素敵な死に方だ

もしも10tトラックが僕ら2人を轢き殺しても
きみの傍で死ねるんだから、最高に幸せだよ

愛に飢え、居場所を失い、未来を見失った、絶望的に孤独な若者の、魂の叫びだ。

これは、生まれながらのリア充さまにはわからんだろうなあ。

帰る場所がない、なんて気持ちは、絶対にわからんだろうなあ。

リア充さま以外の、心に癒えないグジュグジュの傷を抱えたまま、七転八倒しながら、懸命に生きている人々に聴いてほしいと思う。

もしかすると、「自分だけじゃないんだ!」と思えるかもしれない。

そんな風に、スミスの音楽が生きる力になった人々が世界中に存在する。

↓ 2022年にBBCライヴで披露された、ジョニー・マーによる演奏。アレンジも原曲に寄せ、歌い方もモリッシーに寄せ、原曲をできる限り再現しようと努めているようで、思わず胸が熱くなる。歳をとってもカッコいいな、ジョニー・マーは。

(Goro)