
The Cranberries
Just My Imagination (1999)
ザ・クランベリーズは1992年にデビューしたアイルランドのバンドだ。このバンドの顔とも言えるのがドロレス・オリオーダンという、女神の声を持つ革命戦士のような女子ヴォーカルである。
3rdアルバム『トゥ・ザ・フェイスフル・ディパーテッド 〜追憶と旅立ち』で見せた重苦しい政治性や怒りに満ちたサウンドから一転、この曲が収録された4thアルバム『バイ・ザ・ハチェット』では驚くほど軽やかで、明るく健康的なポップ・ロックへと変化している。
彼らの代表曲である「ゾンビ」などは激烈にハードで戦闘的なヴォーカルだったが、この「ジャスト・マイ・イマジネーション」は打って変わって、明るい曲調で優しい声で歌われている。
彼女の独特なヨーデル風の歌唱はケルト音楽の影響を受けたものだが、ときにサディスティックな女王様のようだったり、ときに夢見る少女のようであったり、ときに考え深い大人の女性であったり、ときに天使のような囁きであったりと、これほど変幻自在、表現力豊かなヴォーカリストもなかなかいない。
そんなドロレス・オリオーダンは、2018年1月15日、米国のヘヴィメタル・バンド、バッド・ウルヴスによる「ゾンビ」のカバーのレコーディングに参加するために滞在中だったロンドンで、宿泊先のホテルの部屋の浴槽の中で死亡しているのが清掃員によって発見された。
死因は、酒に泥酔して浴槽内で意識を失い、溺死したとされている。
まだ46歳という若さだった。
訃報を受けて、アイルランドのヒギンズ大統領は「アイルランドの現代音楽界にとって大きな損失」と声明を公式に発表し、他にも、U2やR.E.M.、ビリー・コーガン、デュラン・デュランなどが声明を出し、哀悼の意を表している。
彼女は間違いなく、ロック史に残る女性ヴォーカリストのひとりだった。
わたしは彼女の美しい声が大好きだった。彼女の訃報を目にしたときは呆然とした。かけがえのない素晴らしい声がまたひとつ、この世界から消滅してしまったと、哀しい、虚しい思いだった。
わたしはドロレス・オリオーダンとザ・クランベリーズを、決して忘れない。
(Goro)