静かに寄せる新しい波 〜オトゥールズ『ニュー・ウェイヴ』(1993)【最強ロック名盤500】#339

⭐️⭐️⭐️⭐️

【最強ロック名盤500】#339
The Auteurs
“New Wave” (1993)

大好物、見っけ。

という感じの出会いだった。

イギリス以外の何者でもない、陰鬱さと抒情性と耽美、そして不意に現れる暴力性。

サーヴァンツというバンドのギタリストだったルーク・ヘインズが、バンドの解散(たぶん売れなかったということだろう)後に、ひとりで自宅に閉じこもって曲を書き上げ、当時の恋人だったアリス・リードマンをベーシストに、かつての級友グレン・コリンズをドラマーに迎えてロンドンで結成したのがこのオトゥールズだ。

本作は彼らのデビュー・アルバムとして、1993年2月にリリースされた。

【オリジナルCD収録曲】

1 Show Girl
2 Bailed Out
3 American Guitars
4 Junk Shop Clothes
5 Don’t Trust The Stars
6 Starstruck
7 How Could I Be Wrong
8 Housebreaker
9 Valet Parking
10 Idiot Brother
11 Early Years
12 Home Again

何しろ、ルークの個性的なソングライティング、彼が弾くギター、彼が弾くピアノの、どれもこれもがいい。

バンドを失ったことで鬱屈していた状態だった本人は「ポップシーンへの復讐として完璧なアルバムを作ろうとした」と語る通り、完璧と言っても過言ではない出来である。チェリストを迎え、ストリングスを導入したクラシカルなアレンジもまた良い。

あえて近い印象のものを挙げるとすると、初期のデヴィッド・ボウイあたりを彷彿とさせる。当時から見れば、流行に乗らない、異分子のような音楽性だが、英国の伝統に立ち帰ったと言えなくもない。

この93年はスウェードの1stやブラーの2ndが注目を集めることになるが、それらより少し早くこのオトゥールズは、静かに寄せる新しい波のように、ブリット・ポップへと続く扉を開いたと言えるだろう。

全英35位と、大ヒットとまではいかなかったけれども評価は高く、オール・ミュージック誌は「90年代UKロックの中で最も過小評価されたデビュー作」と評している。

↓ デビュー・シングルとなった「Show Girl」。ひねくれポップながら、静かな感動を呼ぶ。

↓ アコギとピアノと歌声の儚い美しさに酔える「Junk Shop Clothes」。

(Goro)

コメント

  1. アイアイ♪ より:

    Goroさん、ホントに僕と同じモノを聴いてますね(^^)
    そして、僕と違って素晴らしいのは、食わず嫌いが無く、広範囲に渡って愛情深く聴いているのが、いつも文章から伝わってきます。
    いつも楽しみにしてますよ!

    • Goro より:

      ありがとうございます!

      いやいや、わたしも食わず嫌いだらけでしたよ。あと、好きなバンドだったくせに1stと2ndぐらいまでしか聴いてないとか。オアシスですら3rdまでしか聴いてない(笑)

      この名盤選びを機に、あらためて今まで聴き逃していたものを聴くようになっただけです。オアシスもこの先全部聴くことになるはずです。

      いやしかし、さすがに誰も知らんかなと思いながら書いたオトゥールズを、まさか知ってる人がいたとは、嬉しい限りです。