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Stevie Wonder
“Talking Book” (1972)
今頃になってスティーヴィー・ワンダーにハマるなどというのも時代錯誤も甚だしいとは思うものの、彼の70年代のアルバムのどれかをほぼ毎日のように聴いている。
60年代のモータウンも70年代のニュー・ソウルもわたしはよく聴いた時期があったのに、実のところスティーヴィー・ワンダーだけはあまりに異質で、わたしには長い間ピンと来なかったのである。
それがどういうわけか、今年になって1976年の『キー・オブ・ライフ』を聴いたときに、突然開眼したのだった。
ニュー・ソウルなどという小さな枠にはまったく収まらない、ポップな親しみやすさとロック的な実験精神、キレのいいサウンドの鮮烈な質感に、心に染み透るような歌声と、聴けば聴くほどに面白くなってくる。
本作は1972年10月にリリースされた、スティーヴィー・ワンダーの15枚目のアルバムである。
【オリジナルLP収録曲】
SIDE A
1 サンシャイン
2 メイビー・ユア・ベイビー
3 ユー・アンド・アイ
4 チューズデイ・ハートブレイク
5 バッド・ガール
SIDE B
1 迷信
2 ビッグ・ブラザー
3 ブレイム・イット・オン・ザ・サン
4 アナザー・ピュア・ラヴ
5 アイ・ビリーヴ
A1「サンシャイン」はいかにも親しみやすいポップな名曲で、全米1位の大ヒットとなった。そしてB1「迷信」はファンキーなクラビネットのリフが印象的な曲で、こちらも全米1位のヒットとなり、どちらもスティーヴィー・ワンダーの代表曲として知られている。
彼自身が弾く、ピアノ、ハープシコード、クラビネット、フェンダーローズといった鍵盤楽器とシンセサイザー、モーグベースが本作のサウンドのキモとなっているが、それらが派手で安っぽい音にならず、抑制され、推敲されたクリアなサウンドを構築しているのはさすがである。楽器や機械がいっぱいあるからといって、決してはしゃいだりしていないのである。
スティーヴィーが用意した曲があまりにも多く、収録曲を選ぶのに苦労したというその楽曲はバラエティに富み、穏やかで優しいものから、禍々しさや怒りを感じるもの、遊び心あふれるもの、この世のものではない儚さや美しさに溢れたものなど、まるで傑作だらけの短編集を読んでいるような気分だ。しかもちゃんと統一感もあり、読後感は爽快ですらある。
アルバムは全米3位、全英16位の大ヒットとなり、初めてのグラミー賞も受賞し、ここから彼の世界的な快進撃が始まったのだ。
↓ 全米1位の大ヒットとなった「サンシャイン」。ここでスティーヴィーが弾いているのはフェンダーローズと呼ばれる電子ピアノだ。
↓ こちらも全米1位のヒットとなった「迷信」。ホーナー社の電気クラビコードのリフが印象的だ。
(Goro)
コメント
グーグルのトップページ?にリンクされてました! 凄ーい!
好みが私と大変近くかつ知識がご豊富で文書も大好きだったので嬉しい限りです。
コメントありがとうございます。
Googleのニュースフィードですよね。
ときどきわたしの記事から選んで載せてくれてるみたいで、突然アクセスが急増して気づきます(笑)
どういう基準で選んでるのかは全然わかりませんが、ありがたいことには違いありません。
応援してくださって、ありがとうございます。
「文章も大好き」なんて言われると、あー、書いてきた甲斐あったなー、と本当に嬉しくなります(笑)