【ディランのアルバム全部聴いてみた 31枚目】
Bob Dylan “Knocked Out Loaded”
Bob Dylan “Knocked Out Loaded”
ディラン45歳の作品。8曲中、ディランの作詞・作曲は2曲のみで、あとはサム・シェパードやトム・ペティとの共作や、トラディショナル、カバーなどだ。
T・ボーン・バーネットやトム・ペティ、ロン・ウッドなどをはじめ、ギターだけで7人、ベースが6人、ドラムが8人と、大量のゲストミュージシャンが参加している。
そんなやりかたで良い音楽が作れるとはとても思えない。
きっと、方向性が定まらず、自発的な芸術的アイデアに不足していたのだろう。
ディラン絶不調期の、残念作である。
フワフワパシャパシャした当時流行の軽薄な80年代サウンドとディランの相性の悪いこと。
ディラン自身も、「この時代のサウンドが好きではない、自分のも、他人のも」と自伝に書いているように、完全に他人にサウンド作りを丸投げしていたようだ。
参加したロン・ウッドも「レコーディング時点でのきらめきがスタジオ・ワークを経て見事に失われてしまった」と述懐しているほどだから、やはり誰から見ても満足いかなかった出来なのだろう。
チャート・アクションも、全米54位、全英35位と、さらに下降している。
↓ かろうじて聴けるのが、劇作家のサム・シェパードとの共作「ブラウンズビル・ガール – Brownsville Girl 」。しかし11分と長尺だ。
Bob Dylan – Brownsville Girl (Official Audio)