ヒストリー・オブ・ロック 1956【エルヴィス降臨!の巻】Greatest 10 Songs

エルヴィス・プレスリー登場!(期間生産限定盤)

1956

おっかなびっくり、新シリーズ始動!
ロックンロール誕生の1955年から、1年10曲ずつで、ロックの変遷と歴史を辿る、「ヒストリー・オブ・ロック」シリーズです。

今回はその第2弾、エルヴィス旋風が巻き起こった1956年の10曲。

エルヴィス・プレスリーは前年、地元メンフィスのインディ系レーベル、サン・レコードから5枚のシングル・レコードをリリースしていたが、この年、ついにRCAからメジャー・デビューした。

その最初のシングルが「ハートブレイク・ホテル」で、初めての全米チャート入りでいきなり1位を獲得すると人気が爆発し、エルヴィスはこの年だけで5枚のナンバー1シングルを連発した。

これで火が点いた”ロックンロール”は若者を中心に一大ムーヴメントとなっていった。

しかし大人たちはエルヴィスやロックンロールを下品で低俗な音楽と嫌悪し、ロックンロールは若者たちと親の世代のあいだの文化的な断絶の象徴にもなっていく。

エルヴィス・プレスリー/ハートブレイク・ホテル
Elvis Presley – Heartbreak Hotel

Elvis Golden Records

メジャー移籍第1弾シングルにしては意外にも暗いスローテンポの曲を選んだのがシブい。きっとエルヴィスは、ダンスパーティーのためのご陽気なロックンロールだけではなく、もっと切実で、胸を熱くするような音楽を追い求めていたのだろう。だから彼の音楽は、世界中の若者の心に突き刺さったのだと思う。

Elvis Presley Heartbreak Hotel 1957 Ed Sullivan Show

エルヴィス・プレスリー/ハウンド・ドッグ
Elvis Presley – Hound Dog

Elvis Golden Records

このシングルは全米チャート11週連続1位という快挙を成し遂げ、年間チャートでも1位を獲得した、この年の凄まじいエルヴィス旋風を象徴した大ヒット曲だ。
原曲は女性ブルースシンガー、ビッグ・ママ・ソーントンが1953年に歌って彼女の最大のヒットとなったものだ。この原曲もなかなかカッコいいが、エルヴィスはよりワイルドにスピード感を加え、ロックンロールの古典的名曲となった。

Elvis Presley "Hound Dog" (October 28, 1956) on The Ed Sullivan Show

リトル・リチャード/のっぽのサリー
Little Richard – Long Tall Sally

Here's Little Richard

完全にイカれていて、猛烈で、生々しく、炎のように熱い、世界中のガキ共に電気ショックを与えて奮い立たせた、これこそ本物中の本物、ロックンロールの神髄だ。全米6位、全英3位の大ヒットとなった。

Little Richard – "Long Tall Sally" – from "Don't Knock The Rock" – HQ 1956

チャック・ベリー/ロール・オーヴァー・ベートーヴェン
Chuck Berry – Roll Over Beethoven

Berry Is on the Top

チャック・ベリーの姉はいつもピアノでベートーヴェンの曲を練習していたそうで、この歌はピアノを独占された姉に対する悔しさを歌ったもので「決してベートーヴェンではなく、姉に文句を言いたかったんだよ」と本人は語っている。
まあ、でもベートーヴェンという西洋の古典音楽の象徴を”ブッ飛ばして”ロックで踊ろうぜ、と歌い、新しい世代による新しい時代の到来を歌った、これもまた世代間の断絶を象徴する曲だろう。

Chuck Berry – Roll Over Beethoven (Belgium TV, 1965) – HD

ジーン・ヴィンセント/ビー・バップ・ア・ルーラ
Gene Vincent – Be-Bop-A-Lula

Be-Bop-a-Lula -Coloured- [Analog]

米ヴァージニア州出身のジーン・ヴィンセントが21歳のときに発表したデビュー・シングル。全米7位、全英16位のヒットとなった。
ジョン・レノンがアルバム『ロックンロール』でカバーしたことでもよく知られているが、ビートルズ時代にもライヴでは度々演奏していたお気に入りの曲だった。
ジーン・ヴィンセントは50年代末にイギリスに活動拠点を移したため、少年時代のジョンとポールは彼のショウを何度も観に行ったのだそうだ。

Gene Vincent & The Blue Caps – Be Bop A Lula

カール・パーキンス/ブルー・スウェード・シューズ
Carl Perkins – Blue Suede Shoes

Blue Suede Shoes [12 inch Analog]

エルヴィス・プレスリーより3歳年上のカール・パーキンスは、ラジオから流れてきたエルヴィスの曲を聴いて、これはすでにオレがやってる音楽だ、と感じたと言う。
そして、エルヴィスと同じサン・レコードのオーディションを受けに行くと、ちょうどRCAに移籍してしまったエルヴィスと入れ替わりに、サン・レコードの看板スターとして売り出されることになる。そしてデビュー・シングルのこの曲が、全米2位の大ヒットとなった。
カントリー要素の強い乾いたクールなサウンドと、カール・パーキンスの”足技”がカッコいいロックンロールの名曲だ。

Carl Perkins – Blue Suede Shoes – Perry Como Show -1956

ジョニー・キャッシュ/アイ・ウォーク・ザ・ライン
Johnny Cash – I Walk the Line

Johnny Cash with His Hot and Blue Guitar

サン・レコードから3枚目のシングルとしてリリースされ、初の米カントリー・チャート1位に輝いた、初期の代表曲。
当時、結婚したばかりだったジョニーが「心を入れ替えて、これからは真面目に生きるんだ」と宣言する歌だ(まあ実際はそうでもなかったみたいで、その後離婚する)。独特のバリトン・ヴォイスに独特のビートがカッコい。わたしがジョニー・キャッシュを大好きになったきっかけとなった名曲。

Johnny Cash – I Walk The Line 1958

ファッツ・ドミノ/ブルーベリー・ヒル
Fats Domino – Blueberry Hill

THIS IS FATS+2 BONUS T [12 inch Analog]

全米2位、全英6位の大ヒットとなったファッツ・ドミノの代表曲だ。オリジナルはカントリー・シンガーのジーン・オートリーが1941年に歌ったもの。
ブルーベリー・ヒルで共に過ごした、別れた恋人のことを想い「きみはもうここにいないけれど、おれの心には君がいる。ブルーベリー・ヒルで暮らしていた頃は、いつも胸がときめいていたから」と歌うせつない曲だ。

Fats Domino "Blueberry Hill" on The Ed Sullivan Show

ハウリン・ウルフ/スモークスタック・ライトニン
Howlin’ Wolf – Smokestack Lightning

Moanin' in the Moonlight

マディ・ウォーターズと並んで、チェス・レコードの2枚看板だったハウリン・ウルフの初期の代表曲。シウリン・ウルフもまた、多くのロック・アーティストたちがリスペクトしたブルース・マンだった。
この曲はウルフ自身が書いた曲で、米R&Bチャート8位のヒットとなった。狼の遠吠えのような歌唱が印象的だが、なによりも大きな岩がユラユラと揺れるようなグルーヴがカッコいい。

Howlin' Wolf "Smokestack Lightning" Live 1964 (Reelin' In The Years Archives)

ジェームス・ブラウン/プリーズ・プリーズ・プリーズ
James Brown – Please, Please, Please

Please, Please, Please

そしてこの年、後にソウルの帝王となる、ジェイムズ・ブラウンもデビューした。
この曲は彼のデビュー・シングルで、R&Bチャート3位のミリオン・セラーとなった。
魂の限りに泣き叫ぶようなヴォーカルが印象的なこの曲は、後に”ソウル・ミュージック”と呼ばれる音楽の原点となった。

James Brown performs "Please Please Please" at the TAMI Show (Live)

選んだ10曲がぶっ続けで聴けるYouTubeプレイリストを作成しましたので、ご利用ください。

♪プレイリスト⇒エルヴィス降臨!【ヒストリー・オブ・ロック 1956】Greatest 10 Songs

ぜひお楽しみください。

(by goro)