どーも。ひとつもコメントがなくても毎日ブログを更新し続ける強靭な精神の持ち主、ゴローです。
今回はロックンロールの神様、チャック・ベリーの名曲ベストテンです。
チャック・ベリーはロックンロールを発明しました。そう言っても過言ではありません。
チャック・ベリーの音楽は、そのあまりのシンプルな完成度に、まるで人の手によって創られたとは思えないような気がしてきます。
森羅万象を神様が創ったとするなら、ロックンロールも神様が創ったような気がします。
20世紀の前半は、世界中で侵略と殺戮が行われました。人類は、いかにお手軽にいっぺんに人を殺せるかという、武器と爆弾の発明を競い合いました。もうちょっとで人類はこの世からいなくなるところでした。
きっと神様はこれほど兇暴で欠陥だらけの生き物を創ってしまった自分のミスに気付いたのでしょう。彼らの絶滅を防ぐために、ミズーリ州セントルイスをウロウロしていた黒人少年のチャックを送り込んで、ロックンロールを発明させたのです。
そして神様の思惑通り、この音楽は人々を熱狂させ、より自由な生き方と人生の楽しさを教え、より愛とセックスに励ませるなど大きな影響を及ぼし、地上をずいぶん楽しくて平和なものに変えました。
わたしはチャック・ベリーが生まれた10月18日を「ロックンロールが生まれた日」として全世界の学校を休みにする祝日にすべきではないかと思っています。これはわたしの唯一の政治思想であるとも言えます。
そんなチャック・ベリーも2017年に死去しました。
現在はロックンロールの神様として、地上のすべてのロックアーティストやバンドマンたちに対して、彼らが本来のロックンロールの精神を忘れたり、軽んじたりすることがないよう、天国から睨みをきかせています。彼の逆鱗に触れると、ロックンロールの雷に打たれて死にますので、気を付けてください。
今回、あらためてチャック・ベリーを聴き直して、今聴いてもやっぱりいいなあと思える名曲を、ランキングにしてみました。
以下は、わたくしゴローが愛するチャック・ベリーの至極の名曲の、ベストテンです。
Thirty Days
チャック・ベリーの2ndシングル。
拘置所だかなんだかに入ってる厄介な女に保釈金を払って「30日だけ出してやるから、家に戻ってこい」と言ってる男の歌らしい。
カントリー風の曲調に、乱暴で野蛮なビートを強調した疾走感がカッコいい。
Come On
チャックが刑務所に収監される直前に発表したシングル。
なんで刑務所に入ることになったかはここではわざわざ触れないので、気になる方はご自分で調べてください。
60年代になって、それなりに曲調が変化もしてきて、勢いだけではなく、ポップな面白みが厚みを増している。
そのチャック・ベリーが刑務所で懲役を務めているときに、ローリング・ストーンズがこの曲をカバーしてデビュー・シングルとして発表した。
Nadine (Is It You?)
出所直後のシングルで、全米23位のヒットとなったシングル。
バスに乗っていたら、歩いてるネイディーンを見つけて、バスを降りてタクシーで追っかけたりしてるうちに見失い、いつもおまえはそうやって消えちまう、と歌う曲。
「選挙運動みたいに大声で彼女の名を連呼した」とか「タクシーを捕まえたらすでに客が乗ってたから、そいつらの分まで払ってやった」とか、ユーモアあふれる歌詞はさすが、史上最高のロックンロール詩人である。
動画は映画『ヘイル・ヘイル・ロックンロール』より。
Havana Moon
シングル「ユー・キャント・キャッチ・ミー」のB面として発表された曲。特徴的なリズムが面白い曲だ。
ムードのある歌だ。
歌詞に出てくるのは、ラム酒と船と女とダンスとロックンロール。
「ハバナ・ムーン」がなにを意味してるのかがイマイチわからないが、なんとなく月夜の下で船の上で女の子とラム酒を飲んでいちゃいちゃしてるのだろう。
こんなふうにわたしはいい加減な想像をしながら音楽を聴くのである。
Maybellene
マディ・ウォーターズに見いだされ、彼の口利きでチェス・レコードから出したチャックのデビュー曲。全米5位の大ヒットとなった。
時速150kmでキャデラックをぶっ飛ばすメイベリーンという女の子を、V8フォードで追いかける、という歌だ。
歌詞そのままのスピード感のあるタテノリのビートがカッコいい。
まさにブルースとカントリーを融合させた新しい音楽が誕生した瞬間だった。
Rock and Roll Music
そのものずばりのタイトルを冠した、1957年発表のシングル。全米8位の大ヒットを記録した。
チャックがこの曲を作ってくれたおかげで、「ロックンロールってどういう音楽?」と訊かれても、迷わず答えることができるのはありがたい。これだよ、と。
ナイフの刃のような切れ味と、ポジティヴなパワー、甘くて柔らかいスウィーツのような魅力を併せ持っているチャック・ベリーの音楽を象徴するような代表曲だ。
Memphis Tennessee
1959年のシングル「バック・イン・ザ・USA」のB面曲。
シンプルなメロディとアレンジも良いけど、この曲は歌詞が面白い。
男が電話交換手に、メンフィスにいるマリーにつないでくれ、と切々と頼む言葉だけでできている歌詞だが、途中までは許されない恋で離れ離れになった彼女への想いを歌ってるのかと思いきや、離婚して別れた娘のことだったという、なんともせつないオチにグッとくる。
Johnny B. Goode
このシンプルなロックンロールは今聴いても素晴らしい。
目の覚めるような眩いばかりのイントロから始まり、ギターはこの曲を弾くためにあるかのように音が輝いているし、チャックのヴォーカルはいつにも増してハイテンションだ。
シンプルなように見せかけて、3コーラス目のサビが急にパターンを変えてきたりする面白さもある。もちろん、間奏のダック・ウォークも必須だ。
チャックの曲の中でこの曲が飛びぬけて有名なのは、他の名曲に比べてもエイトビートの推進力がいつにも増して強いからのような気がする。
You Never Can Tell
出所直後の1964年のシングルで、全米14位のヒットとなった。
わたしがこの曲を好きになったのは、1994年のアメリカ映画『パルプ・フィクション』で使用されたのがきっかけだった。
ギャングのボスの妻、ユマ・サーマンに振り回されるボディガード役のジョン・トラボルタが、酒場のダンスコンテストにむりやり引っ張り出されて踊るシーンだ。
男女のダンスのシーンとしては愛の雰囲気がカケラもないのがクールで、全然気のりがしない様子から、意外とノッてくる感じが面白い。
曲もよくハマって、記憶に残るカッコいいシーンになっている。
Sweet Little Sixteen
全米2位と、チャック・ベリー最大のヒットとなった曲。
「ボストンでもフィラデルフィアでもテキサスでもサンフランシスコの海岸でもセントルイスやニューオリンズでも可愛くてステキな16歳の女の子とみんな踊りたがってるんだ」と歌う、チャックやエルヴィスによって齎された「ロックンロール」という、当時できたてホヤホヤの最新の音楽が若者たちに熱狂的に支持されている様を、新しい時代が始まった象徴のようにリアルタイムで描いた歌だ。
歌詞もメロディも素晴らしい、いつ聴いても幸せな気分になる、チャック・ベリーの最高傑作だ。
以上、《チャック・ベリー【名曲ベストテン】 でした。
チャック・ベリーを最初に聴くなら、やっぱりベスト盤がいい。
すべてのロックの原点だ。
(Goro)