ブルース・スプリングスティーン/ハングリー・ハート (1980)

Bruce Springsteen – Hungry Heart – Vinyl (7", 45 RPM + 2 more), 1980 [r3871461] | Discogs

【80年代ロックの名曲】
Bruce Springsteen
hungry heart (1980)

この曲を初めて聴いたのは16歳のときだった。この曲でブルース・スプリングスティーンという名前を知った。今でもこの曲を聴くと、なにかがこみあげてくるように胸が熱くなり、いろいろな場面の記憶がよみがえる。

「誰もが満たされない心を抱えている」というリフレインに自分を重ね合わせて心を揺さぶられたり、孤独を感じたり、自分のたくさんの間違いについて考えたり、少しだけ勇気づけられたりした。

なんて思ってる人はきっと世界中にたくさんいるのだろう。わたしもそのひとりだ。すべての、”満たされない心”を抱えた人々のテーマ曲だ。

この曲が書かれたのは、アズベリー・パークでスプリングスティーンがジョーイ・ラモーンと偶然に出会ったことがきっかけだったらしい。

ジョーイはラモーンズに曲を書いてくれとブルースに頼み、ブルースは快諾してその晩に一気に書いたのが、この曲だった。

しかしブルースのプロデューサーを務めていたジョン・ランドーに聴かせると、この曲を提供するのはやめろ、と止められた。ジョン・ランドーはこの曲がヒットすると確信したのだ。

1980年10月に5thアルバム『ザ・リバー』からシングル・カットされ、ブルースにとって初めてのトップ10入りとなる、全米5位の大ヒットとなった。

当時のラモーンズが喉から手が出るほどヒット曲をは好きだけど、まあ、あげなくてよかったと思う。

若い頃はよくわかっていなかったが、この歌は、「ボルチモアに妻と子がいたんだ。おれはドライブに出かけて、そのまま戻らなかったんだ」という歌詞から始まる。

家庭や責任から逃げた男の物語なのだ。妻や子供たちを傷つけてまで、何かを求めて彷徨う、満たされない心を抱えた自分勝手で孤独な男なのだ。決してポジティヴな歌ではない。

ジャケットの写真がまたいいな。

家に電話をしようかどうしようか迷っている、この歌の主人公みたいだ。

(Goro)