はじめてのボ・ディドリー【必聴名曲5選】5 BO DIDDLEY Songs to Listen to First

Have Guitar, Will Travel + In The Spotlight + 5(import)

チャック・ベリーやリトル・リチャードに比べると一般的な知名度は劣るものの、ボ・ディドリーもまた1955年デビュー組の、ロックンロール・オリジネイターのひとりだ。

その最大の功績はなんといってもあのダンダカダッタン、ダカダッタンというジャングル・ビート(ボ・ビートとも言う)の発明だろう。このビートはバディ・ホリーが「ノット・フェイドアウェイ」で拝借して以降、ロックンロールのフリー素材として共有され続けている。もしもビートにも著作権があったとしたら、ボ・ディドリーならミシシッピ州ぐらいは買えたかもしれない。

また、彼のバンドの初期編成はボのヴォーカル&エレキギターとスネアドラム、そしてマラカスというスリー・ピースだった。特にマラカスは重要だった。これもまたひとつのサウンドの発明だろう。

近年はボ・ディドリーのトレード・マークとも言えるあのグレッチの四角いギターを、ギター好きのお笑い芸人がバラエティ番組に持ち込み、「見たこともないダサいギター」としてイジられたり笑われたりしているのを見たことがある人もいると思うけれども、特に若い人には、ボ・ディドリー本人が弾けばこんなにカッコいいギターなのだと、認識を新たにしていただければ幸いである。

以下は、わたしがお薦めする、最初に聴くべきボ・ディドリーの至極の名曲5選です。

ボ・ディドリー(1955)
Bo Diddley

タイトルに自身の名前を冠し、記念すべきボ・ビートの誕生となったデビュー・シングルで、いきなり米R&Bチャート1位の大ヒットとなった。

西アフリカ直輸入の天然モノのような活きのいいビートだけれども、それでいてなぜか都会的なクールなカッコ良さも併せ持っているから不思議だ。

後年このビートはさらに洗練されていくが、初期のこのゴツゴツとした荒っぽいビートもまた魅力的である。

Bo Diddley "Bo Diddley" on The Ed Sullivan Show

アイム・ア・マン(1955)
I’m a Man

この曲はボ・ビートではなく、シカゴ・ブルースのスタイルだ。

マディ・ウォーターズの名曲「フーチー・クーチー・マン」を手本にしてボ・ディドリーが書いた曲で、デビュー・シングルのB面として発表された。「おれは坊やじゃない、おれは男だ!」と豪快に叫ぶド迫力のブルースだ。

さらにこの曲へのアンサー・ソングとして書かれたのがマディ・ウォーターズの「マニッシュ・ボーイ」だった。

「マニッシュ・ボーイ」の過去記事はこちら

I'm A Man

フー・ドゥー・ユー・ラヴ(1956)
Who Do You Love?

この曲も典型的なボ・ビートではなく、ロカビリーなどでよく聴く、ストレートなエイト・ビートとシャッフル・ビートの中間のようなタテノリ・ビートだ。でもマラカスはちゃんと入ってるからボ・ビートの変種に聴こえる。

シングルヒットはしなかったが、ボ・ディドリーの代表曲としてよく知られている、ワイルドでカッコいいロックンロールだ。

Who Do You Love?

モナ(1957)
Mona (I Need You Baby)

ボ・ビートによる代表曲のひとつで、バディ・ホリーの「ノット・フェイド・アウェイ」は、この曲をパクった参考にしたと言われている。

モナとは当時、黒人専門のエンターテイメント・ショーを見せるデトロイトの高級バー〈Flame Show Bar〉で踊っていた45歳の女性ダンサーの名前で、彼女を賞賛した歌なのだそうだ。当時ボ・ディドリーは29歳だったので、だいぶ年上の熟女に向けてその想いを歌っているということになる。別にいいけれど。

「モナ」の過去記事はこちら

Mona

クラッキン・アップ(1959)
Crackin’ Up

59年リリースのシングルで、初の全米チャート入りとなった(62位)代表曲のひとつ。
わたしはこの曲をローリング・ストーンズの77年のライヴ・アルバム『ラヴ・ユー・ライヴ』で知り、そこでボ・ディドリーの名前を初めて知ったのだった。

ラテン・テイストの明るい曲調で「ギャーギャーうるさいイカれた女に悩まされてる、もううんざりだ」という内容の歌だ。

Crackin' Up

入門用にボ・ディドリーのアルバムを最初に聴くなら、『THE BEST 1200 ボ・ディドリー』がお薦め。最初に聴くべき代表曲はすべて網羅されています。

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(by goro)