T. Rex
“Telegram Sam” (1972)
1972年7月にリリースされた名盤『ザ・スライダー』からのシングルで、全英1位の大ヒッとなった。
まあ「ゲット・イット・オン」と同じような曲だけれども、この曲はさらにタイトルもカッコいいな。意味はわからんけど。
いかにもT.レックスらしい、シンプルなブギだけど、初めて聴いたときはたったこれだけの単純なイントロが鳥肌が立つぐらいカッコイイと思ったものだった。
マーク・ボランは、単純で普通で安価なものを、ものすごくカッコ良く聴かせることができる天才である。
最近の世の中は「ゴッホより普通にラッセンが好き」らしいのだけど、わたしはラッセンなんてやっぱりあんまり好きじゃなくて、ふつうにゴッホやピカソの絵のほうがユーモアがあったりせつなかったり荒っぽかったりしてカッコいいと思っている。T.レックスもやっぱり独特の、粗挽きで繊細じゃないタッチの演奏がカッコいいと思っているのである。
あんまり上手くもないヴォーカルと、なんだかたどたどしいギターに、こりゃおれでもできそうだとついつい錯覚してしまうのも、ゴッホやピカソを見て「こんなのならおれでも書けそうだ」なんて誰もが思うのと同じ気がする。
わたしが認定したということで、これでマーク・ボランも天才芸術家の仲間入り。
↓ 英国ゴシック・ロックの先駆的バンド、バウハウスによる1980年リリースのカバー。カッコいい。
(Goro)