’60s サイケデリック・ロック【必聴10組10曲】’60s Psychedelic Rock Great 10 Songs

The Psychedelic Sounds Of The 13TH Floor Elevators [Analog]

サイケデリック・ロックは、1966年頃に米英でほぼ同時に生まれた音楽で、その起源はアメリカではバーズの「霧の8マイル」、イギリスではビートルズの「トゥモロー・ネヴァー・ノウズ」ということになるだろう。

米英で同時にというのも不思議なものだが、カルチャーの突然変異には意外と同時発生的なところがあったりするものだ。きっと無意識に影響し合い、生成されていくのだろう。

サイケデリック・ロックは、当時のヒッピー文化から広まったと言われる幻覚剤「LSD」(当時はまだ違法ではなかった)やマリファナ、コカインといったドラッグによる幻覚体験を音楽に反映させたものとされる。

わたしは残念ながらドラッグをやったことがないのでわからないけれども、その音楽のイメージはどこか非現実的で、世界がぐんにゃりと歪んで極彩色に明滅するような、発狂や臨死体験の一歩手前みたいな、そんな感じである。

ただしサイケデリック・ロックと言っても様々なものがある。当時は実験的にサウンドを加工してみたり、ちょっと変わったことをやればとりあえずサイケデリックと呼ばれるということもなきにしもあらずだっただろう。流行に乗って「最新のサイケデリック・ロック」と宣伝コピーを付ければ、セールスに良い影響を及ぼしたのだ。

ここでははじめてサイケデリック・ロックを聴くという人のために、その原点となる60年代の最盛期のものから、必聴の10組10曲を選んでみた。

ザ・バーズ
霧の8マイル(1966)

The Byrds – Eight Miles High

デビューと同時にフォーク・ロックという斬新なサウンドを確立させたバーズが、翌年に更なる成長を遂げる。

1966年3月にシングルとしてリリースされたこの曲は、ジョン・コルトレーンの影響を受けたと言うロジャー・マッギンのギターのイントロと複雑なリズムで始まる。歌詞もドラッグ・ソング的であり、史上初のサイケデリック・ロックとされている。全米14位のヒットとなった。

The Byrds – Eight Miles High (Audio)

13thフロア・エレヴェーターズ
ユーアー・ゴナ・ミス・ミー (1966)
The 13th Floor Elevators – You’re Gonna Miss Me

13thフロア・エレヴェーターズは米テキサス州で結成された、奇妙なサウンドとブッ飛んだ世界観で知られている異端のサイケデリック・ガレージ・ロック・バンドだ。

この曲は1966年1月にリリースされると地元テキサスで人気を博した。この時点ではローカル・ヒットだったものの、上記のバーズ「霧の8マイル」よりも先なので、こちらが本当の史上初のサイケデリック・ロックと言えなくもない。

そして5月に再発されるとその人気はサンフランシスコやデトロイトにも広がり、全米55位まで上昇した。

You're Gonna Miss Me – Original

ザ・ローリング・ストーンズ
黒くぬれ!(1966)
The Rolling Stones – Paint it Black

1966年5月にシングルとしてリリースされ、全米・全英のチャートで共に1位を獲得した大ヒット曲。

ブルース・バンドを自称するストーンズにサイケデリック・ロックをやろうというつもりはなかっただろうけれども、インドの楽器シタールを導入し、インド風とも中近東風とも言える風変わりで幻想的な音楽性は、サイケデリック・ロックの先駆けをなしたものと言えるだろう。

Paint It, Black

ラヴ
セヴン・アンド・セヴン・イズ (1966)
Love – 7 and 7 is

ロサンゼルスで結成されたバンド、ラヴの2ndアルバム『ダ・カーボ』からのシングルで、全米33位と、バンドにとって最高位のヒットとなった代表曲だ。

アート風でありながらエネルギッシュな熱量と勢いを感じる、サイケデリック・ガレージ・ロックの名曲だ。

Seven and Seven Is

ザ・ビートルズ
トゥモロー・ネヴァー・ノウズ(1966)

The Beatles – Tomorrow Never Knows

いろいろと扱いが厄介なサイケデリックも、結局一番うまく使いこなして、名曲を量産したのはやはりビートルズであり、中でもジョン・レノンだったような気がする。

彼の「トゥモロー・ネヴァー・ノウズ」はオーバー・ダビングを重ね、実験的な方法で生まれた英国サイケデリック・ロックの最初の傑作と言えるだろう。

Tomorrow Never Knows (2022 Mix)

エレクトリック・プルーンズ
今夜は眠れない
The Electric Prunes – I Had Too Much To Dream(Last Night)

ロサンゼルスで結成された、不気味で苦悩に満ちたバンド、エレクトリック・プルーンズの2枚目のシングルで、全米11位のヒットとなった。

ファズ・ギターとブルブルと振動するようなサウンド・エフェクトによる革新的なサウンドのサイケデリック・ガレージ・ロックだ。

I Had Too Much to Dream (Last Night)

ザ・ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス
アー・ユー・エクスペリエンスト?(1967)

Jimi Hendrix – Are You Experienced?

ザ・ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスのデビュー作となった『アー・ユー・エクスペリエンスト?』のタイトル曲だ。

ジミにとってスタジオは実験工房のようなものだった。この曲ではギターとドラムを録音したテープの逆回転なども取り入れた、実験的な作品となっている。まるでヒップホップのように聴こえなくもない。

Are You Experienced?

ザ・ドアーズ
ハートに火をつけて(1967)

The Doors – Light My Fire

ドアーズの2枚目のシングルで、全米チャート1位の大ヒットを記録した、彼らの代表曲。

シングルでは短く編集されているが、オリジナルでは間奏が3分以上も続き、最後は獣のようなジム・モリソンの絶叫で終わる。全米1位のヒットソングとしてはやはり異様な曲であることは間違いない。

Light My Fire (2017 Remaster)

ジェファーソン・エアプレーン
ホワイト・ラビット(1967)

Jefferson Airplane – White Rabbit

女性ヴォーカリスト、グレイス・スリックの作。全米8位のヒットとなった。

「あなただけを」に次ぐ彼らの代表曲だが、こちらのほうがよりサイケデリック色が濃い。彼らはもともとサンフランシスコのコミューンで生活していたリアル・ヒッピーだったということもあり、本場のホンモノによるサイケデリック・ソングの代表曲だ。

Jefferson Airplane – White Rabbit (Audio)

ピンク・フロイド
ルシファー・サム(1967)

Pink Floyd – Lucifer Sam

ピンク・フロイドの1stアルバム『夜明けの口笛吹き』収録曲。プログレッシヴ・ロックの代表格であるピンク・フロイドも、最初はサイケから始まったのだ。

当時のバンドの中心人物であるシド・バレットはLSDを過剰に常用していて、すでに常時サイケデリックな状態だったという。その意味でガチ中のガチと言えるだろう。

Pink Floyd – Lucifer Sam (Official Audio)

以上、60’s サイケデリック・ロック【必聴10組10曲】でした。

(Goro)