ストレイ・キャッツは米ニュー・ヨーク出身のバンドだ。
しかし、当時パブ・ロックやテディ・ボーイズの文化が流行していたイギリスで活動することを選んで渡英し、そしてその思惑通りに人気を博した。
彼らのエネルギッシュなステージは、噂が噂を呼び、ミック・ジャガーやキース・リチャーズ、レッド・ツェッペリンやザ・フー、クラッシュのメンバーなども観にやって来るなど、すでにデビュー前から話題になっていた。
1980年にレコードデビューすると米・英はもちろん、日本でも人気を博し、当時中学二年生だったわたしは、「ニュー・ウェイヴだ!」などと興奮していたものだ。
後になって1950年代の音楽スタイルである「ロカビリー」を再現したものだとわたしも知ったが、しかしあながち間違いでもなくて、ストレイ・キャッツのロカビリーはただの懐古趣味ではなく、ちゃんとパンクを通過した新しい時代の耳を刺激するだけの新機軸と、熱い息吹を持ちあわせたリアル・タイムのロックだったのだ。
以下はわたしがお薦めする、最初に聴くべきストレイ・キャッツの必聴名曲5選です。
Runaway Boys
アルバムに先駆けてイギリスで発売されたデビュー・シングルで、全英9位のヒットとなった。
キレのいいドラムとアップライト・ベースの響きがカッコいい、あのイントロが始まった瞬間にもうシビれる。最初に好きになった思い入れも含めて、わたしの一番好きな曲だ。
Rock This Town
1stアルバム『涙のラナウェイ・ボーイ(Stray Cats)』からの2ndシングルで、これも全英9位のヒットに。
この曲はスピード感もあってさらにカッコいい。ファンの間ではいちばん人気の高い曲であり、ストレイ・キャッツの代表曲だ。
Stray Cat Strut
名曲だらけの名盤1st『涙のラナウェイ・ボーイ』からの3rdシングルとしてリリースされ、全英11位のヒットとなった。
単純なロックンロールだけでなく、こういったひと味違うひねりのある曲があったのもストレイ・キャッツの魅力だ。ブライアン・セッツァーのギター・ソロもカッコいい。
(She’s) Sexy + 17
2ndはセールスも評価もイマイチだったが、再びプロデュースにデイヴ・エドモンズを迎えた3rdアルバム『セクシー&セヴンティーン(Rant N’ Rave With The Stray Cats)』からはこの曲が全米5位のヒットとなった。
アルバムは全米14位、日本でもオリコン34位と洋楽としては健闘していて、当時の日本での人気の高さが窺える。
Blast Off
1985年に解散を表明した彼らが、88年に再結成、三たびデイヴ・エドモンズ師匠をプロデュースに迎えて制作したのが通算5作目となる『ブラスト・オフ(Blast Off)』だった。
オープニングを飾るこの超カッコいいタイトル曲を聴けば、彼らの再出発への気合の凄さがわかるというものだ。アルバム全体にも疾走感のある熱い演奏が繰り広げられ、あの名盤1stにも引けをとらない出来となった。
最初にストレイ・キャッツのアルバムを聴くなら、ベスト盤もいいけど、やはり1st『涙のラナウェイ・ボーイ』を薦めたい。
デイヴ・エドモンズによる素晴らしいプロデュースも相まって、最後まで耳を惹きつけて離さない充実したアルバムになっている。
(Goro)